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FIP/Feline Iinfectious Peritonitis 猫伝染性腹膜炎(2ページ目)

猫の三大伝染病のひとつであり、当ガイドが愛猫「まりあ」を失った「猫伝染性腹膜炎」について

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

FIPというのは、コロナウィルスという風邪の菌より弱い菌が、猫の体の中で突然変異をしてFIPウィルスに変化し、そのウィルスが出来る事によって激しいアレルギー反応をおこし、体内に悪影響が出て死に至る病気です。
この病気にはふたつのタイプがあります。ひとつはウェットタイプと言って、腹水や胸水が溜まるタイプ。そしてドライタイプと言って、体全体に様々な支障が出て、最期は神経系統も冒されて亡くなるタイプです。このタイプの場合にはFIPであると決定づける事も難しく、様々なデータや事象から「おそらくそうだろう」という事しか出来ません。

この病気になる可能性があるかどうかは、血液検査をして「FIPウィルス抗体値」というものを調べる訳ですが、実際にはこれは正確にはFIPウィルス、ではなく「コロナウィルス抗体値」です。
諸説ありますが、現段階では「FIPウィルス(コロナウィルスが変化したもの)は、体外には出にくいし、直接は感染しない」という説が有力な様です。
事実、うちにはまりあを含め11匹の猫がいた訳ですが、後の10匹は健康そのものです。私は思う所あってまりあを隔離しませんでしたので、FIPウィルスが直接感染するのであれば、毎晩グルーミングしあっていたライスが感染しない筈はないと思うのです。
また、非常に厄介なのですが、このFIPウィルス抗体値が高ければ発症し、低かったら発症しない、という事でもなく、抗体値が高くても発症しない子もいれば、低くても発症する子もいるのです。

この病気に何故なるのか(コロナウィルスがどうやって感染するのか)、感染経路はどうなのか、そしてコロナが何故FIPに変化してしまうのか、は現代の医学では解明されていません。
私の知る限りのFIP発症猫ちゃんについては、8カ月とか9カ月の猫が多く、最後に行った東洋医学を取り入れている(Oリングとホメオパシー)獣医さんは「生殖能力が出てくる、人間で言うと思春期にあたる時に発症するケースが多く、ホルモンと何らかの関係があるのではないかと思っている」と仮説を述べられていましたが、私もこの意見には興味があります。

また、この病気の権威という噂のある獣医さんを訪ねた事があるのですが、その先生は発症について「住環境ストレス」と断言されました。例えば多頭飼いであったり、空気の入れ換えをしていないとかそういう事を並べておられ、私に「今の環境のまま飼い続けたら1年に1匹ずつ、この病気で死なせる事になる」と言いました。しかしながら、まりあが死んでからもう2年になろうとしていますが、全員元気です。あの時につけられた心の傷を、その獣医さんは知らないと思うと何とも言えない気分です。

FIPは、猫の医学書などを見ても「住環境ストレスで発症する」と書いてある事が多く、この事は飼い主さんの気持ちをひどく傷つけると思っています。これを読んで「私のせいで発症した」と思ってしまう飼い主さんは少なくないと思います。私ももちろんそうでした。ですから、私個人としては「住環境ストレスで発症する」と結論づけられてもいないことを断言的に書く事には反対ですし、FIPを発症させてしまったとして私の所に泣きながらメールを書いてみえてる方には「原因などは分からない」と説明してあげています。

先の東洋医学の獣医さんは「一般的には住環境ストレスと言われているけれど、実際は分かっていません。自分のせいでこの子を発症させた、と悩んでいる事は、病気の猫にとってよくない気を出す事になるので、もうその事は忘れてください。」と言ってくださいました。これでどの位心が救われたか分かりません。
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