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『プレイズタッチ』のルーティン その3

プレイズタッチ、最後のルーティンです。一日のしめくくりに、愛犬と一緒に過ごせたことに感謝をしつつ、共にリラックスした時間を。体のバランス感覚を意識させるタッチも入っているので、シニア犬にもいいですよ。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

リラックスと沈静を促すルーティン

ドッグウィスパラー山田りこさん
「“おやすみ”は、リラックスや沈静を促すルーティンです」(山田さん)
ドッグウィスパラー山田りこさん考案の『プレイズタッチ』。1回目では“大好き!”のルーティンを、2回目では“おはよう”のルーティンをご紹介しましたが、今回は最後の“おやすみ”のルーティンとなります。

これは、リラックス、そして沈静を促す効果があるルーティンで、まさしく一日の終わりにはぴったり。

一緒にいられることに感謝をしつつ、「今日もありがとう」という気持ちを込めてタッチをすることで、犬も飼い主も互いに穏やかな気持ちや安心感を共有することができますよ。もちろん、精神的な安定は健康面や、しつけの面にもいい影響を与えます。


=Index=
・犬のストレス
・パッシブタッチ~ストローク
・手の平全体で円を描く~耳の付け根のサークルタッチ
・ウィールタッチ~パッシブタッチ

犬のストレス

タッチをしてもらっているアイシャちゃん
今回のモデルは、アイシャちゃん(ボーダー・コリー、6歳、♀)
社会化の不足からくる不安、落ち着きのなさ、分離不安などの問題。また、病気や飼い主との関係、環境など、犬達も様々なストレスに見舞われています。近年では犬の場合もそうしたストレスが注目されるようになってきています。

ストレスを受けた時の行動サインとしてよく知られているのはカーミングシグナルですが、その他、強い、または長期にわたるストレスを受けると、落ち着きがなくなる、吠える、攻撃的になる、同じ行動を何回も繰り返すといった常同行動など、行動の変化が見られることがあります。また、下痢・便秘、脱毛、アレルギー症状が出るなどといった体の変化として表れることも。もっと重大なものでは、心臓病や脳血管障害、癌の発現などにも影響するとされますから、簡単に考えたくないのがストレスだということです。

“おやすみ”のルーティンにはリラックス効果がありますから、広い意味で、ストレスからくる種々の問題を予防・軽減するのに役立つことでしょう。

子犬からシニア犬、そして重い症状をもった子にも

では、具体的にどんな効果があるのか?

このルーティンの一つである「マズルのストローク」は、鼻先から耳のほうへ向かってタッチをすることで口周りの抹消神経に刺激を与えるものですが、実はこの神経、喜怒哀楽を司る大脳辺縁系と深く関与しており、情緒の面で安定させることができるそうです。

特に、上記「犬のストレス」にあるように、社会化の不足からくる不安や行動の問題などを抱える子の場合、ソーシャルグルーミングの不足分を、飼い主の手でタッチしてあげることで補うことが可能ということ。吠え癖のある子でも、日頃から口の周りをタッチすることで、身体意識を高め(つまり、自分の口や吠えるという行動を意識させ)、少しずつ吠えの問題が落ち着いていくことも期待できるという話です(もちろん、それに伴うトレーニングも必要ですが)。

例えば、犬同士がいざこざを起こした時、別の犬がそこに割って入り、興奮している子の口先を舐めているような仕草を目にしたことはありませんか? 山田さんの愛犬達にはそのようなシーンが見られることがあるそうですが、それは犬達が自然に高ぶった神経を沈める術を身につけているとも考えることができるかもしれませんね。

その他、身体意識を高め、体のバランス感覚を向上させるタッチも入っており、基本的にリラックス効果の高いルーティンなので、子犬からシニア犬、重い症状をもった子までお勧めできるルーティンということです。

では、実際のやり方については、次のページでご紹介しましょう。
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