ラマダン中に気をつけるべきこと
ドバイの人々にとって、おもてなしは大切なラマダン中の行い。この時期は、おもてなしの象徴である、アラビックコーヒーポットを飾るホテルが多くなる
まず、ラマダン中のイスラム教徒は日の出前の食事スハール(Suhur)と日没後の食事イフタール(Iftar)までの間は、飲食が一切禁じられています。
ドバイでは、レストランやカフェなど、多くの飲食店が日没まで店を閉めています。外国人が多く利用するホテルや施設などによっては、カーテンやパーテーションを張って目隠しをし、イスラム教徒に飲食している姿が見えないよう営業していると所もあります。テイクアウトのサービスのみ行っているお店も多いようです。
しかしながら、テイクアウトで買った飲み物を歩きながら飲んだり、ラマダン中に禁じられている喫煙を公然と行うなどもこの時期にやってはいけない行為に入ります。これは、タクシー等移動中の車内の中であっても同じです。
また、ラマダン中イスラム教徒は禁欲をしなくてはなりません。イスラム教徒の男女が手をつなぐことはもってのほか。外出の際には肌の露出を極力控えた服装を心がけ、カップルは公共の場での行動に配慮することが必要です。 日本では全く気にならない行動も現地の方が不快に感じ、警察に通報された外国人観光客も。
ラマダン時期ならではの楽しみイフタール
ラマダン中の日没後の楽しみ、イフタールはドバイ中で楽しむことができる
最後にお話しするのは、ラマダンならではの楽しみ、日没後の『イフタール』です。イフタールとは、日没の合図として打ち上げられる大砲の音(聞こえないところもある)を合図に始まる断食明けのディナーのことを言います。
最初になつめやしを食べ、タマリンドや杏子のジュースなどで空っぽ状態のお腹に優しく栄養を与えます。その後は、種類豊富な野菜、肉、魚、ご飯類、デザートなど豪華なレパートリーのディナーを家族団欒とゆっくり楽しみます。
このような習慣から、ドバイ中のレストランではイフタールディナーを多く企画しています。特にドバイならではの5つ星ホテルのレストランでは、豪華イフタールビュッフェやコースメニューを用意しているところが多く、ラマダンならではの伝統的なアラブ料理がふんだんに並べられます。
一流の5つ星ホテルでのビュッフェの相場は、150~300ディルハム(4500~9000円程度)程度。
ラマダン中なので、お酒やベリーダンスを楽しむことはできませんが、イスラム情緒にどっぷりと漬かりたい人には、1年の中で最高のシーズンと言えるでしょう。
特にガイドがおすすめしたいのは、シェイクモハメッド殿下がイスラム教やドバイについて外国人観光客に正しく知ってもらい、楽しんでもらえることを目的に様々な文化アクティビティーを開催している非営利団体SMCCU(シェイクモハメッド センター フォー カルチュラル アンダースタンディング)が毎年行う、イフタールミールです。ホテルなどでのイフタールとは違って、現地人によるレクチャーや食事中の交流なども楽しみのひとつ。基本英語でのレクチャーとなりますが雰囲気やディナーを楽しむには最高の場といえるでしょう。
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ドバイで現地ならではの文化体験ができる「SMCCU」
また、イスラムの5つの柱のひとつ『喜捨』に関係するのですが、ラマダン中は『喜捨』を心がける教徒が多く、裕福な家の前や公共の広場などに大きな『ラマダンテント』と呼ばれるテントが張られ、稼ぎが少なく恵まれない人たちに無料で『イフタール』を振舞う光景を目にします。
そのほか、大手スーパーなどではラマダン用寄付スペースが設けられるなどして家庭の不用品やお金を寄付する場所が設けられ、気軽に『喜捨』を行うことができるのです。
『ドバイで過ごす断食月ラマダン』は、いかがでしたか? 国際都市として世界に名を馳せたドバイですが、基本はイスラム教国。本来のドバイの姿を体験できるラマダンシーズンにドバイにお越しになる皆さん、きっと今までとは違ったドバイを発見できると思いますよ!
※編集部注
2017年5月22日より、外務省から広域情報としてラマダン月に関する警告が出ております。2017年5月25日現在、アラブ首長国連邦に危険情報は出ておりませんが、渡航の際には最新情報の入手に努め、安全確保に十分注意を払ってください。
■外務省の海外安全ホームページ