薄型テレビ、今年最後の大作は、
超薄型でLEDバックライトのアクオスXS
アクオスの新フラグシップが65Vと52V型の2サイズのXS1シリーズ |
今年の掉尾(ちょうび)を飾るように、シャープからアクオスの新XSシリーズが発表されました。アクオスにはTHXの認証を得たTシリーズがありますが、これは2サイズのみの受注生産ですので、XSシリーズが事実上のフラグシップといっていいでしょう。
昨年のCEATEC JAPANでシャープは次世代液晶メガASVを採用しテレビコントラスト100万対1を実現、しかも最薄部20mmの「超薄型」の試作品をさまざまな設置提案と共に出品、来場者を驚かせました。メガASV液晶とは、ダイナミック(テレビ)コントラスト(注)100万対一の表示能力を持つ(Advanced Super View)液晶を意味するシャープの造語です。
XSシリーズはこの時の「超薄型」にほぼ準じる内容を持っています。その時点で量産は2009年の堺工場稼動に合わせて、と予測しましたが、今年のCEATEC JAPANにXSシリーズのプリプロが大量展示され、「シャープは生産を前倒しするのだな」と驚かされました。
初期のコンセプトモデルと違うのは、厚さがやや増したこと(最薄部20mmが22.8mm)、消費電力がやや増えていること(年間消費電力が140kWh/年が249kWh/年)くらい。製品化を前倒し「できる」現在のシャープの旺盛な商品企画と生産力に驚かされます。
今年のCEATEC JAPANにはXSシリーズの量産試作がさまざまな設置ソリューションのアイデアで展示された |
超薄型でRGB LEDバックライトを搭載、テレビコントラスト100万対1を実現したシャープのパワーに驚かされるばかり |
XSシリーズを早期投入に踏み切った背景には、ソニー・ブラビアの大攻勢があるのではないでしょうか。シャープはソニーにも液晶パネルを供給しますが、両者は液晶方式の国内二強で、日本市場ではシャープはソニーに追われる立場、世界市場ではシャープはソニーを追う立場にあります。
RGB LEDと部分駆動で両社は、競い合うように開発を続けてきました。この秋一足早く、最薄部9.9mmのZX1、RGB LEDバックライトを搭載したXR1を含む4系列を同時発表し、存在感を一躍高めたソニー・ブラビアに対し、パネル生産からセットまで手掛ける液晶方式の盟主として、主流感を主張する目的があったのではないでしょうか。
従来の液晶方式は光源にCCFL(一種の蛍光管)バックライトを使用しますが、XSシリーズはLEDを使用。しかも、全体をではなく、映像の状況により明るくすべきところだけを明るくします。(部分駆動方式)この点で、アクオスXSシリーズとブラビアXR1シリーズは「100万対一」まで共通、両機はまさのガチンコの好敵手の関係にあります。
*注:バックライトを消灯した状態での全黒画面の輝度と、点灯した状態の全白の輝度の差の対数がダイナミックコントラスト
次ページは、アクオスXシリーズのラインナップと機能について紹介します。