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薄型テレビの動画ボヤケ、倍速ってなに?

薄型テレビ、特に液晶方式は動画ボヤケがあることが弱点といわれてきました。この秋は各社から新提案が相次いで発表される模様、「倍速」の意味も含めて、今回は「動画ボヤケ」をテーマにしてみましょう。

大橋 伸太郎

執筆者:大橋 伸太郎

テレビガイド

量販店のテレビ売り場でよく見かけるのが、楔状の縦線が左へ動いていく(レゾリューションチャートといいます)モノクロ画面や世界地図の画像。これらの画像が画面を横切ったりするのを見て、「ん?」と思って足を止めたことはありませんか。

これは「動画解像度」のデモ画面で、テレビの動画性能をユーザーに伝えるためのものです。細かな地名や国境線が書き込まれた世界地図は、それが動いていくとテレビによってはとても見づらくなります。

動画解像度は薄型テレビの性能の決め手の一つで、この秋は、従来の倍速120Hzからさらにバージョンアップした240Hz駆動のパネルを搭載するなど、各社から新提案が相次いで発表されるようです。

今回は動画解像度とそれによって起る「動画ボヤケ」について解説します。

動画ボヤケって何、倍速パネルってどんなもの?

動画解像度が低いと「動画ボヤケ」が起こり、残像が生まれて、見ていて気持ちの悪い映像になります。ブラウン管式テレビと比べ、薄型テレビ、特に液晶方式はこの動画解像度が弱点といわれてきました。しかし、メーカー各社の努力で最近は大きく改善されています。従来の倍速120Hzからさらにバージョンアップした240Hz駆動のパネルを搭載するメーカーもあります。

「倍速120Hz駆動」を最初に採用したのはビクターの液晶テレビ。写真は最新製品のLT-47LH905 地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタルチューナー内蔵47V型フルハイビジョン液晶テレビ。「ジェネッサプレミアム」を搭載。実売予想価格50万円(税込)
「倍速120Hz駆動」を最初に採用したのはビクターの液晶テレビ。写真は最新製品のLT-47LH905 地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタルチューナー内蔵47V型フルハイビジョン液晶テレビ。「ジェネッサプレミアム」を搭載。実売予想価格50万円(税込)


液晶方式が薄型テレビの主流の座をプラズマ方式と争うようになり、大画面化していくほど、この動画ボヤケが目に付くようになりました。液晶方式の動画ボヤケには二つの要因があります。

一つは、応答速度の問題。液晶の場合、バックライトの光(FL管、LED)が液晶層に入り、カラーフィルターを通過してカラー映像を描きます。このとき、液晶層の中に配向された液晶体に電圧を掛けることで並びの向きが変わって光の屈折現象が起き、遮られた光と通過した光の組み合わせで映像を描きます。

液晶体に電圧をかけて実際に光を遮るまでには一定の時間が掛かります。この「応答速度」を速めるため、現在の製品はみな、画面が変わる時に通常より高い電圧を掛けて応答速度を高速化する「オーバードライブ技術」を採用しています。

もう一つが「ホールド表示」。バックライトは常時点灯していますので、一コマの画像を表示している間、同じ状態が続いて完全なリセット状態にならず、一コマの間透過光を出し続けます。これが液晶方式特有の「ホールド効果」です。「明るい液晶」はこのホールド表示による部分が多いのですが、反面、画像が急峻に動いた時の残像感の原因になります。

【参考記事】
液晶とプラズマの方式の違いを知りましょう

液晶方式に力を入れる各社は「動画ボヤケ」の改善に取り組み、成果を上げています。各社のアプローチには以下があります。

■パネル倍速駆動(120Hz、180Hz、240Hz)
画面の1秒間毎の書き換え回数を60Hz回からその整数倍の回数、120回あるいはそれ以上に増やす。

■黒挿入
擬似的に映像をリセットする効果を狙い、映像のコマ間に一定の間隔で黒の表示データを書き込む。そのままでは映像が暗くなるので、同時に映像の明るさを高める。

■バックライトブリンキング
黒挿入を行うと、映像が暗くなってしまう。バックライトのFL管の映像表示部分だけを点灯し、黒表示部分は消灯することで、明るさの減少を最小限に抑えることができる。動画ボヤケ改善と輝度、コントラストとの両立ができる。

液晶テレビの倍速表示に「黒挿入」を組み合わせたのは日立が最初。写真は、日立最新のBS、110度CS、地上デジタルチューナー内蔵ハイビジョンテレビUT32-WP770。予想実売価格27万円
液晶テレビの倍速表示に「黒挿入」を組み合わせたのは日立が最初。写真は、日立最新のBS、110度CS、地上デジタルチューナー内蔵ハイビジョンテレビUT32-WP770。予想実売価格27万円


現在30V型以上の製品の大半がパネル倍速駆動を採用し、「動画ボヤケ」改善の中心、さらに他の併せ技で動画ボヤケ現象を改善しています。テレビの映像は毎秒60コマ(正確には60フィールド)で構成されますが、先のホールド効果の弱点を軽減するために、コマ数をテレビ側が表示する際に擬似的に二倍に増やすのです。その場合、映像の動きを検出して中間的なコマを挿入して使う場合もあります。

液晶テレビを購入する場合は、迷わず「倍速パネル」搭載機種を選びましょう。

次のページでは、「動画ボヤケ」をチェックするための指標「動画解像度」と店頭での製品の動画性能を見極めるポイントをお話しましょう。
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