アジサイは万葉の昔から
日本人に愛されてきた

日本原産の原種はガクアジサイ。万葉人が見ていたのも、こんな形のアジサイでした
言問はぬ 木すらあじさい 諸弟らが
練りのむらとに 欺かれけり
(万葉集より 大伴家持)

ものを言わない木でさえ、紫陽花のように色を変えるものがあります。それ以上に上手く言葉をあやつる諸弟たちにすっかりだまされてしまったのですね。

うーむ、深い。確かに諸弟たち(男の人?)は、アジサイよりも気が変わりやすく、言葉巧みに人を騙しますよね。気をつけなくっちゃ。

万葉集には、上の一首ともうひとつ、アジサイについて詠んだ歌があります。つまりアジサイは、このような昔から日本人に愛されてきたのです。
色とりどりに咲くアジサイの群生

アジサイの原種は
ガクアジサイ

はじめのうちは葉緑素の色も残る淡い色です
アジサイは、もともと日本原産の植物で、太平洋岸に自生していました。原種は丸い手まり形に花が咲く西洋アジサイではなく、ガクアジサイやヤマアジサイでした。ガクアジサイは、周辺にのみ装飾花が咲くもの。しかし、中心部の両性花にも、よく見れば5枚の花弁とおしべとめしべがあります。周辺部の花の花びらに見える部分は、本当はガクなんだそうです。

それが次第に品種改良され、ヨーロッパに渡って、華やかな西洋アジサイとなり、日本に戻ってきました。ガクアジサイは一般には地味と言われますが、ここでいろいろ見ていると、古くからあるガクアジサイのほうが味わい深く思えます。日本人の美意識には、やっぱり、派手なものよりひっそりとしたものが合うのでしょうか。

薄い水色から濃いピンクまで変化します
紫陽花や己が気儘の絞り染
小林一茶

なるほど、これもなかなか深い一句です。一茶って、そんなに気ままな人だったんでしょうか。

色が変わるのはアジサイの大きな魅力ですが、それは実は、花びらが次第に老化していく過程なのだそうです。また、土が酸性かアルカリ性かによっても色が違うとか。アジサイは、微妙で移り気なつかみどころのない花のようです。

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