寺・神社/宿坊に泊まる

宿坊に泊まる韓国旅 世界遺産海印寺前編(5ページ目)

日本に仏教を伝えたのは、お隣の韓国。ならばルーツは韓国にあるはずだと、調査旅行に行きました。その結果、日本と似た部分、違う部分をいろいろ発見。まずは、世界遺産の海印寺から。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

国内最古の木造仏なのに
なぜか金ぴか

国内最古の木造仏と書いてありますが、一見、そんな古いものには見えません
とあるお堂の前で、またしても謎発見。あの巨大ポスターには「国内最古、統一新羅木造仏像」と書いてあるけど、堂内にある実際の仏像は、金ぴかでつるつるで、そんな古いものには見えないです。統一新羅と言うと、だいだい9世紀くらい。日本で言えば、平安時代の前期に当たります。日本では、そのような時代の仏像がぴかぴかの金色に見える例は、まずありません。

これもやはり、建物と同じく、修復の仕方と美意識の違い、そして何よりも、仏像が、美術品として鑑賞する対象とみなされているか、信仰の対象として拝むものと認識されているかというところから生まれる違いです。仏像はもともとがお釈迦様の姿であり、お経には、悟りに至ったときのお釈迦様の体は金色に輝いていたと書かれてます。したがって、本来、仏像は、金色でなければいけないものなのです。

こちらは、韓国の多くの寺の頂点に立つソウルの曹溪寺(チョゲサ)。やっぱり仏像は金ぴかです

韓国では、仏教がまだ宗教としての力を持っており、正しい意味での仏教徒がいますが、日本では、お寺や仏像は無数にあっても、信仰としての仏教はかなりな部分が形式化し、お葬式や法事などの生活習慣と化しています。仏像を見るときも「きれいだ。美しい」と芸術として鑑賞するのが主で、拝むことがあっても、それは、真に仏教徒として拝んでいるわけではありませんよね。

ここで、「あれ? でも韓国は儒教の国でしょう。キリスト教徒も多いと聞きますよ」と言う人がいるかも知れませんが、韓国では、儒教が生活の中に浸透しており、それとは別に、仏教やキリスト教の信者がいるというふうにお考えください。つまり、韓国では、お寺参りに来るのは観光客だけでなく、その寺の信徒さんである場合も多いのです。たとえば上の写真のソウルの曹溪寺(チョゲサ)などには、ひっきりなしに信徒さんの団体が訪れていました。

次のページはなぜこの仏像が、忍者のような手の形をしているかについてです。
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