新井薬師の骨董市

骨董市全景
毎月第一日曜日の早朝から行われる新井薬師の骨董市

東京とその近郊では、毎週のように、どこかの寺や神社で骨董市が開かれています。曜日に関係なくその寺の縁日に行われるものもあれば、毎月第一日曜日、という感じで、縁日とは関係なく行われるものもあります。

人形
小物から家具まで、いろいろなものがあります
東京でこれほどたくさんの骨董市が開かれるようになったのは、ここ5年くらいのことで、昔は、原宿の東郷神社、赤坂の乃木神社、ここ新井薬師の三ヵ所でした。今回は、その新井薬師の骨董市に行ってみます。

実はわたしは、冷やかし専門ではありますが、ここの常連で、店を出す人々とも、すでにお馴染み。扱っている品物も個性的ですが、骨董市の面々は、人自体も超個性的で、話し込むとめちゃめちゃ面白い。皆さん、普通の価値観とはちょっと違った「骨董こそ人生の目的」というスタンスで生きていらっしゃるようです。


個性派ぞろいの骨董市の面々

應後さんの店は、青い色の染付け古伊万里で統一されています
骨董市は、夜明け前からはじまり、午後三時くらいに終わるのが一般的です。店を出す人々は、意外にも、他に職業を持ち、市のある時だけに店を出すパターンが多いです。ここの市は30年ほど前に始まったのですが、その当時から店を出している應後大吾さんもその一人で、普段の日は、向島にある自動車整備の会社で働いておられます。

しかし、この方は、骨董の世界では、ちょいと知られた有名人。とりわけ古伊万里の染付けに関しては、東京有数の目利きです。お店に出すものも厳選されていますが、向島の職場の上にある「古伊万里資料館」に展示された、プライベートコレクションのすごさに驚きます。そこにあるものは、ちょっとやそっとの値段ではないので、露天の市には出せないのです。


川島さんの店は、高価なものから安くて楽しいものまで、ごった煮的な魅力にあふれています
川島義輝さんは、本郷に「ギャラリー菊坂」という固定の店も持っておられる専業の骨董屋さんです。この方の店は、古伊万里の染付けで統一された應後さんの店と違って、いろいろなものがあります。川島さん自身がもともと素人のコレクターで、好きで買い集めた骨董品がたまりにたまって、ついに店を開くことになったのだとか。骨董屋さんは、このように、もともと骨董が好きでたまらず、いつの間にか売るほど持っていた、という流れの方が多いようです。

そういうことなので、川島さんのお店では、種々さまざまなものの中からお宝を探し出す楽しみがあります。中には安いものもあるので、よくよく見てみましょう。しかし、せっかく売れても、川島さんは、市を巡ってまた好きなものを買ってしまうので、結局何にも残らない、とぼやいていらっしゃいます。骨董品は、このようにして、骨董を愛する人々の間を巡り歩くのです。


骨董市で掘り出し物を見つける方法

外国人
日本在住の外国人たちも、熱心にお気に入りを探しています
應後さんによれば、骨董入門のコツは、まず、気に入ったものを買ってみること。本当に値打ちがあるかどうかは、よほど勉強しなければわからないようです。勉強とは、お金を使って、「ああ、失敗したな。次はこういうものを買わないようにしよう」という経験を繰り返すこと。趣味の世界も、極めるには、なかなか厳しい目が必要なようです。

お気に入りを見つけたら、ちょっとがんばって値切ってみましょう
したがって、掘り出しものを見つけるのは、初心者のうちは、まず無理ですが、どうしてもという方は、なるべく早く行ってみましょう。新井薬師の骨董市は、夜明け前に始まりますが、開店直後は、プロの業者さんが多く来ます。午前中は、常連のベテランコレクターの時間帯です。なので、よいものは、午前中に売れてしまうみたいです。

また、気に入った品物を置く店を見つけたら、何度か通ってお馴染みさんになることもコツです。骨董市は、多くが、メンバーも場所もほぼ固定ですから、たとえば「わたしは、こんな柄のそばちょこを探しています」などと言っておくと、次回に仕入れておいてくれたりもします。

しかし、何も、値段が高いくて一般的に値打ちのあるものを買うことだけが骨董市の楽しみではありません。境内には、安くて楽しい古いものがあふれかえっていますので、各自のセンスでお宝を探してみるのが、骨董市の正しい遊び方です。

大黒
他の人には、ただの古びたものでも、好きな人にとっては値千金のお宝です



應後大吾さんのコレクションが展示された古伊万里資料館はこちらです。
いろいろ説明もしていただけるので、骨董の世界を知りたい方は一度覗いてみてください。

次ページでは、新井薬師がどんな寺かについてお話します。