お通夜や葬儀(葬式)でのシーン別の会話マナー
お葬式での遺族との会話のポイントをおさらい
シーン別、会話のポイントをおさらいし、忌み言葉やNGワード、よくあるQ&Aについても解説します。
<目次>
<お通夜・葬式での会話マナー>
お通夜・葬式での会話マナー1:一般的なお悔やみの言葉
「ご愁傷様です」という言葉は、普段使いなれないだけによそよそしいイメージがありますが、相手を気遣う意味が含まれている大変丁寧な言葉です。
「このたびはご愁傷様です」
「このたびは突然のことで大変でしたね」
「心からお悔やみ申し上げます」
など、よく使われるフレーズを覚えておきましょう。最初からいきなり病状や死因などを聞くのは失礼です。
お通夜・葬式での会話マナー2:受付
マナー本では「受付での挨拶は『このたびはご愁傷様です』と言うように。」と書かれていることが多いですが、実際は軽く黙礼して受付を済ます人が多いようです。お通夜・葬式での会話マナー3:お葬式の開式前の言葉
開式前の遺族は親戚や参列者、僧侶への挨拶に加え、式の打合せ、供花の札の順番の決定など、あわただしい時間を過ごしています。お付き合いの度合いにもよりますが、遺族への挨拶はできるだけ手短にし、お悔やみの言葉に加えて「お手伝いできることがあればお申し付けください」と声をかける程度にしておきます。お通夜・葬式での会話マナー4:故人と対面するときの言葉
故人と親しい場合、最後に会ってお別れをしたいという気持ちになるでしょう。対面するときは、必ず遺族の許可を得ること。勝手に棺の中を覗いてはいけません。許可を得たら、故人へ近づき手を合わせ一礼して対面します。「安らかなお顔ですね」など、遺族をいたわる言葉と「ありがとうございました」というお礼の言葉を忘れずに。お通夜・葬式での会話マナー5:通夜ぶるまいの席
通夜ぶるまいの席では、大声で話したり飲みすぎてしまわないように注意しましょう。故人や遺族と親しい間柄だったら、故人を一緒に思い出しながら遺族の胸の内をぜひ聞いてあげてください。悲しみは避けて通れないものですが、その悲しみや心の痛みを否定しようとすると、かえって長い間苦しむことになるといわれています。克服するためには正面から死を受け入れることが大切ですが、友人知人との会話を通じて「故人を上手に思い出す」こともひとつの方法といわれています。
※地域によっては賑やかにお酒を酌み交わす通夜ぶるまいもあります。
忌み言葉とは
忌み言葉にとらわれる必要はありませんが、できるだけ避けるような心配りも大切。 |
言霊(ことだま)という言葉があるように、言葉には霊が宿るという言い伝えもあり、不吉な言葉を発すると凶事が起こるに違いないとおそれられていたこともあって、葬儀の際は忌み言葉を避けるようになりました。具体的には次のような言葉があげられます。
【二度続くイメージ】
「重ね重ね」「返す返す」「またまた」「たびたび」「くれぐれも」「いよいよ」「次々」
【次も続くイメージ】
「重ねて」「続いて」「追って」「再三」「再び」
忌み言葉は単に「語呂合わせ」から敬遠されるのであって、実際に不幸と直結するわけではありません。死を忌み嫌った時代には、忌み言葉は敏感に受け止められがちでしたが、現在は死は避けて通れないもので受け止めるべきという考えに変わってきています。
マナーの本質は思いやりですから、「イヤだな」と受け取られてしまう言葉はできるだけ避けるように心がけつつ、気にしすぎて型どおりの言葉にならないよう、できるだけ自分の言葉で真心をこめて遺族と接することが大切です。
「ご冥福をお祈り申し上げます」は仏教用語
「ご冥福をお祈り申し上げます」という一文、一般的に使われているお悔やみの文ですが、厳密にいえば仏教用語です。冥福とはわかりやすく説明すれば死後の幸福のこと。仏教では亡くなった人は四十九日の間、冥土を旅しながら生前の行いに対する裁きを受けます。「冥福を祈る」とは、冥土の旅を無事に終えて、良い世界へ転生できるように祈ることをいいます。
また冥土をさまようという概念を持たない浄土真宗では不適当な言葉となります(浄土真宗は、人は死後すぐに浄土へ行くという教えに基づきます)。
ちなみに「ご冥福をお祈り申し上げます」を言い換えるとしたら、「哀悼の意を表します」が適当です。
その他、宗教色のある言葉をご紹介します。
【宗教色のある言葉】
「往生」「成仏」「供養」は仏教用語。
「天国」キリスト教での死後の世界。
「神様」キリスト教、神道等で用いる言葉。仏教では一般的に使用しない。
「冥福」のほかに、「供養」も浄土真宗では使用しません。気にしすぎたらキリがありませんし、使用したからといってトラブルになるわけではありませんが、覚えておくと便利です。
※浄土真宗は日本で門信徒数(檀信徒数)が多い伝統仏教宗派のひとつです。
その他お葬式でのNG言葉と言い換え例
葬儀では死を意味する直接的な表現も避けます。「死ぬ」「死亡」「生きる」「生存」などを言う場合、次のような言葉に置き換えて話すと良いでしょう。【言い換え】
- 「死ぬ」→「亡くなる」
- 「死亡」→「逝去」
- 「生存中」→「生前」
- 「生きているとき」→「お元気なとき」
また日本では「四」「九」は不吉な数字とされているので避ける傾向があります。
葬儀での会話についてのQ&A
大切な人を亡くした人のほとんどは「家族や友人の支えが一番ありがたかった」と答えます。気の利いた言葉でなくてもかまいません、そっと声をかけてあげるだけでも力になれるかもしれません。
キリスト教の場合は「昇天」「召天」という言葉の意味は?
A:
「昇天」と「召天」は似ているようですが意味は違います。「昇天」は天へ昇ることでカトリックで「イエス・キリストの昇天」「聖マリアの被昇天」という形で使用されます。「召天」は天に召されることを意味し、受身になり、主にプロテスタントで使用します。カトリック教徒の一般信者には「帰天」が使われます。
Q:
遺族と話すときに笑顔はダメ?
A:
大声で笑ったり、賑やかな雰囲気を作ってしまうような笑顔は控えた方が良いとされています。しかし、遺族をいたわる穏やかな笑顔なら大丈夫。故人の思い出話をしながら「あのときは○○だったわね~。」といった笑顔なら、きっとその場が和むはずです。
Q:
自分の焼香が終わった後、遺族の前でひとこと挨拶するべき?
A:
焼香は読経の途中ではじまることが多いので、焼香後は小声でひとこと挨拶するか、何も言わずに礼だけします。特に参列者が多い場合は、焼香の列が滞ってしまうので軽く目礼する程度にしておきましょう。
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