お彼岸と春分・秋分の関係
お彼岸と春分・秋分の関係
彼岸も此岸も仏教用語で、迷いや煩悩に満ち溢れたこっちの世界「此岸」から、悟りを得たあっちの世界である「彼岸」へ到達するために、春分・秋分の日を中日とする前後7日間は、六波羅蜜(ろくはらみつ)という修行に励みましょう!と意味が根底にあります。
●六波羅蜜とは、次の6つのことです。
- 布施
財施(財を施す)、法施(真理を教える)、無畏施(恐怖を取り除き安心を与える)など、見返りを求めずに施す。 - 持戒
ルールを守る。 - 忍辱
苦しさや困難に耐える。 - 精進
最善をつくして努力する。 - 禅定
心を落ち着ける。 - 智慧
真実を見抜く力を身につける。
つまり、日常の生活に追われ、自分自身を見つめることができない人でも、春と秋の7日間は六波羅蜜という良い行いをし、先祖や仏様に感謝をしましょうというということですね。
春分・秋分の日がお彼岸と決められたわけ
なぜ春分・秋分の日がお彼岸と関係しているのでしょう?お彼岸は仏教用語であっても日本独自の行事で、インドや中国から伝わってきたものではありません。春分・秋分の日がお彼岸の中日といわれる理由はいくつかあります。●西方浄土
お彼岸には太陽が真西に沈みます。西は「西方浄土」といわれ、仏様がいる極楽浄土の世界。すなわち、その方向に向かって念仏すれば必ず往生されると信じられていました。
●中道
仏教では「中道」を重んじます。お釈迦様は悟りを得るために厳しい修行をしましたが、いくら行っても悟りは開けなかったので苦行を捨て、「中道」に目覚めたそうです。「苦」「楽」や「有」「無」にしばられず、どちらにもとらわれない、つまり偏らない立場であることを「中道」といいますが、昼と夜の長さが同じである春分・秋分は「中道」の象徴とされています。
●季節のシンボル
「暑さ寒さも彼岸まで」というように、日本のお彼岸は季節感をダイレクトに感じることができる行事ともいえます。その昔、農耕生活をしていた頃は太陽を崇拝していましたから、気候がいいお彼岸を季節のシンボルとして五穀豊穣を願っていたのです。
春分の頃には豊作を願い、秋分の頃には収穫を感謝するという自然信仰と仏教の教えとが結びつき、千年以上にわたって日本人の生活の中にお彼岸が定着しているのですね。
お彼岸は自分を見つめなおす絶好のチャンス。せっかくですから各寺院で行われる彼岸会法要に参加してみてはいかがでしょうか。
お彼岸の過ごし方
同じものでも、春は牡丹にちなんで「ぼたもち」、秋は萩にちなんで「おはぎ」と呼ばれますが、最近は春でも「おはぎ」として販売している和菓子店が多くなりました。
彼岸会法要に行ってみる
お彼岸期間中は、ほとんどのお寺で「彼岸会(ひがんえ)法要」が開かれます。「彼岸会って、身内を亡くした人とか菩提寺でなければダメなのでは?」と思いがちですが、基本的にお寺は誰でも平等に門戸を開いていますので、近くのお寺などに気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか?彼岸会法要では、各宗旨・宗派のお経が読まれ、法話会が開かれます。お寺の話、仏教の話、命の話など、内容はその時の僧侶によって異なりますが、普段改まって聞くことがないお話ばかりなので、きっと何か得るものがあるに違いありません。また、お寺によってはお彼岸中の期間限定で宝物殿などの特別な場所を公開しているところもありますし、最近では落語や雅楽、舞踊、お茶会などさまざまなイベントが行われていたりします。
その場合のお布施についてですが、個別の法要でないかぎりは渡さなくても失礼ではありません。彼岸中に実践するべき6つの項目「六波羅蜜」の中にも「布施をする」という言葉が書かれているように、自分が出せる範囲(コイン1つでも、千円札1枚でも)でお布施をするのも良いでしょう。
お彼岸に関するQ&A
彼岸会法要に訪れる人は年々高齢化しています。若い人が足を運びやすいようにイベント等を行っているお寺が増えてきました。 |
Q:
お墓参りをする際に法要(お経)はどうする?
A:
お墓参りをする際にお墓だけ掃除して帰ってしまう人もいますが、墓所の場所が寺院内であったり、あるいはお寺が近くにある場合はせめて本堂に手を合わせてお参りくらいはしておきたいものです。しかしせっかくご先祖や仏様に向き合うチャンスなのですから、お経をあげていただいては?
Q:
個別法要の場合のお布施の金額は?
A:
地域によっても、お寺との付き合い方によっても異なりますが、3000円から1万円くらいの間が多いようです。白無地の封筒に「お布施」と書きます。
Q:
お布施の表書きは「お経料」ではダメ?
A:
お布施とは、そもそも大切なものを施すという意味からうまれた言葉。つまり私たちの生活の中でなくてはならない大切なもの……つまりお金を施すということですね。お経の対価としてお金を渡すのではなく、あくまで施すということ、それがお布施なのです。ですから葬儀のときに「戒名料」と書くのも×。必ず「お布施」と書きましょう。
Q:
お寺へ持参するときに供物は何にする?
A:
お寺へ持参する供物といえば「果物」「和菓子」が定番。供物は一旦は本堂へお供えしますが、その後はお寺のほうでいただいています。
しかしお彼岸やお盆などで法要件数が多くなると、せっかく頂戴した供物でも、無駄になってしまうケースもしばしば。日持ちのするものや、おすそ分けがしやすいものなどを持参すれば気配り上手かも。
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