弔辞の書き方やマナーとは

弔辞は普段手紙を書くような感覚で、話かけるように書くと素直な気持ちが表現できます。正式には奉書紙を使用しますが、便箋に書いてもかまいません。

弔辞は故人へ捧げるお別れのメッセージ。最近は弔辞という言葉を使わずに、「お別れの言葉」として捧げる場合もあります。遺族は「ぜひお別れの言葉をお願いしたい!」という人に依頼するものです。ですから弔辞を依頼されたら断らずに引き受けるようにしましょう。
   

弔辞の書き方……自分らしい表現でOK

弔辞と聞くと、改まった文章でなくてはいけないようなイメージになりがちですが、堅苦しい言葉を使う必要はありません。お決まりの文句を並べるよりも、自分らしい言葉で素直な気持ちをそのまま声にして伝えるほうが、何倍も心のこもったお別れになります。

限られた時間しかないのに、あれもこれもと欲張りすぎて文面に入れてしまうと何を伝えたいのかわからない文章になってしまいます。時折、故人の功績を時系列に並べて話すだけの弔辞もありますが、それよりも誰も知らない故人とのエピソードや、故人の人柄を彷彿させるような話のほうが温かみがありますし、故人を慕っている気持ちが遺族や参列者にもきっと伝わるはずです。

弔辞は長ければいいというものではありません。ゆっくり読んで3分ほど、400字詰めの原稿用紙で2枚~3枚くらいにおさまる長さが適当です。巻紙に薄墨で書いて奉書紙に包むのが正式な作法ですが、社葬や団体葬など形式にこだわる葬儀でなければ便箋に書いたり、パソコンで書いてプリントしたものでもかまいません。その場合は白い封筒に入れておきます。
 

弔辞の忌み言葉について

忌み言葉とは、「重ね重ね」「かえすがえす」など同じ言葉を重ねたものや、「再び」「また」「続いて」など死があたかも次々に連鎖するようなイメージを与えるような言葉のことを言い、葬儀の際はこの忌み言葉を避けるようにする習慣がありました。死を忌み嫌った時代には、忌み言葉は敏感に受け止められがちでしたが、現在は死は避けてとおれないものであり、それを受け止めるべきという考えの風潮に変わっています。忌み言葉を抑えておくことは大切ですが、それにとらわれすぎると、自分の言葉どころか真心のこもった弔辞を捧げることはできません。
 

弔辞を依頼されたら……弔辞の手順

弔辞を依頼されたら会場には早めに到着し、動作を確認しておきましょう。

弔辞を依頼されたら会場には早めに到着し、動作を確認しておきましょう。

まずは一般的な手順をご紹介しましょう。

  1. 名前を呼ばれたら、遺族・参列者に一礼し祭壇の前に進んで一礼します。
  2. 祭壇前に立ったら、弔辞を取り出して読み始めます。
  3. 読み終わった弔辞は、元のように奉書に入れ(便箋の場合は封筒に入れ)お供えします。
  4. 最後に祭壇に向かって一礼して席に戻ります。

※キリスト教の場合、祭壇に向かって弔辞を読むことはありません。参列者に向かって読みます。

「遺族・参列者に一礼をして弔辞を読むだけなら簡単!」と思っている方ちょっと待って!細かい手順は会場のレイアウトや装飾によって、また葬儀社によって少しずつ異なりますので注意が必要です。

そこで弔辞を依頼された場合、会場に到着したらリハーサルすることをお勧めします。
 

弔辞リハーサル時の確認事項

会場に到着したら、名前を呼ばれてからのルートを確認しながらリハーサルしてみましょう。その際の確認事項は下記のとおりです。

  • 席を立ってからどのようなルートで祭壇前に進めばよいか。
    ……祭壇前に進むときと、戻るときのルートが違う場合もあります。また祭壇前に到着したときに焼香をする場合もあります。
  • 名前を呼ばれて遺族・参列者に一礼する場所はどこか。
    ……自分の席の前で一礼する場合、遺族の席で一礼する場合、中央で一例する場合もあります。
  • 弔辞の上包みの置き場所はあるか。
    ……上包みを開いたら、読んでいる間は一旦台の上に置いてもかまいません。台がない場合は左手で持ったまま右手で弔辞を開きます。上包みだけを一旦スタッフが預かるケースもあります。
  • 読み終わった弔辞はどうするか。
    ……ほとんどのマナー本では、「読み終わった弔辞は所定の位置に置く」と書いてあると思いますが、実際は、

    1. 所定の台の上に祭壇方向へ向けてお供えする。 
    2. 僧侶が受け取りにきてお供えする。
    3. スタッフが受け取りにきてお供えする。

    など、そのときの事情によって異なります。

リハーサルで動作を確認しておけば、イザ本番となったときにあわてることもありません。落ち着いて故人へのメッセージを伝えることができるでしょう。
 

本田美奈子さんの葬儀での弔辞

まるで歌詞のような岸谷五朗さんの弔辞には心を打たれた人も多いはず。

まるで歌詞のような岸谷五朗さんの弔辞には心を打たれた人も多いはず。

本田美奈子さんの葬儀では、岸谷五朗さんが弔辞を読みました。

岸谷さんの弔辞は、歌の詩のようでした。だからといって抽象的な言葉は使わず、まるで少年のような語り口調で本田さんに話しかけるような文章です。

はじめに「美奈子ちゃんがくれた手紙は宝物になってしまいました。筆不精の僕は、いつも電話でした。 実はこれが初めての手紙です。 」と語りかけます。次に「美奈子ちゃんにはたくさんのびっくりをもらいました。」と、思い出話を”びっくり”という言葉に置き換えて岸谷さんらしいお別れのメッセージを伝えます。

「美奈子ちゃんはずっとがんばっていたのに、 『がんばれ!がんばれ!』って言ってゴメンね。」と言葉を詰まらせるシーンが印象的でした。
 

いかりや長介さんの葬儀での弔辞

まるでいかりや長介さんがこちらを見ているような……そんな加藤さんの弔辞でした。

まるでいかりや長介さんがこちらを見ているような……そんな加藤さんの弔辞でした。

いかりや長介さんの葬儀では、加藤茶さんが弔辞を読みました。

まずは「長さん…。随分急いで向こうに行っちゃったんだね……」から始まり、”その年の年末に結成40周年の記念としてスペシャル番組をやりたかったのに約束を守らないで逝っちゃうなんて”というような内容のメッセージが、加藤さんらしい口調で読み上げられます。

そして最後は「40年間本当にありがとう。そしてご苦労さんでした。何も心配なくゆっくり休んでちょうだい。さようなら。」で締め。飾らない言葉と、まるでその場にいるかのような雰囲気で話しかけるしぐさは、生前のいかりやさんと加藤さんとのコントシーンを彷彿させるようなシーンでした。

【関連記事】