リーズナブルなのに高い満足度! 基本の充実で上質な滞在感
東本陣の客室は、上品で落ち着いた佇まい。山奥の秘湯なのに、なんとシャワートイレ付き。驚愕しつつも都会人には嬉しい。他に、いろり付きの客室もある。 |
滞在中、常に身に付ける浴衣と丹前。これを着用していて気分が良いか否かが、滞在感を大きく左右するもの。最初は浴衣のデザインに目が行きますが、慣れて来ると気心地そのものが重要になってきます。鶴の湯の丹前は紺色で地味なデザイン。しかし、着心地が抜群なのです。不思議なもので、良い経験をすると、過去の残念だった経験を思い出すものです。過去のやたらと重い丹前と比較すると凄い違い。そう思うと一層嬉しく感じます。
帯も伸縮性があって、緩んで来ない優れものでした。そういえば、いつも浴衣の帯が緩んで来て、何度も締めなおして苦労することが多いのを思い出します。なるほど、帯に伸縮性があれば緩まないのです。なぜ他の旅館の帯も伸縮性の物にしないのかと思ってしまいました。
長年旅をしていれば、宿に特に期待するポイントは意外と絞りこまれているものです。鶴の湯は、そうした点を、ことごとく満たしてくれました。食事と接客については後で述べますが、良かった点一つ一つの要素を説明しても、小さな事に感じるかもしれません。
鶴の湯は館内の至る所が絵になる。渡り廊下でも秘湯風情満点。
しかし、鶴の湯で良い経験をする度に思い出した、過去に残念な経験をした旅館のように、一つ一つの要素にいちいち小さな失望を感じなくて済むというのは、とても素晴らしいことなのです。自分が求めていたものにフィットする格別の滞在感があります。それはまさに、上質で高級な感触でした。
旅行をする人なら誰でも、鶴の湯の良さを感じ取れると私は思います。門の前で大勢の人が記念撮影していることや、予約がなかなか取れないことも、その良さに気付き、満足し、ファンになった人の多さを証明しています。
次回は鶴の湯で最も高い、東本陣のいろり付きの部屋に泊まってみたいと思いました。それでも税別15,000円ですので、恐るべきコストパフォーマンスの高さです。鶴の湯は良い部屋程、割安に感じますし、良い部屋で快適に滞在するのがお勧めです。
→次ページでは、名物料理「山の芋鍋」を含む、山の幸漫喫の夕食を紹介します!>>>