ローマ、ミラノ、バルセロナ、グラナダなど、古都と現在が調和した街を楽しみながら、ついでにヨーロッパ建築史をさらえてしまおう。
世界遺産「バチカン市国」にあるローマ・カトリックの総本山、サン・ピエトロ大聖堂。今回すすめるルートの中でも最大規模を誇り、内部空間の美しさでも他に類を見ない。 |
世界遺産を巡るロマンティック建築ルート
世界遺産「アントニオ・ガウディの作品群」に含まれるバルセロナのカサ・ミラ。地中海をイメージしており、曲線は波のたゆたいなどを表現している。 |
<イタリア-スペインのロマンティック建築ルートの例>
■ローマin→ミラノ→バルセロナ→グラナダ→マドリードout
時間があれば、ローマとミラノの間にフィレンツェ、グラナダとマドリードの間にコルドバを入れたい。移動については、たとえばミラノ、バルセロナ間も電車移動できるので、いずれも陸路でも空路でも可能。
■期間:10日程度~
■予算:30万円程度~
■ベストシーズン:いつでもOK
■主な世界遺産(拠点となる都市)
1. ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂(ローマ)
2. バチカン市国(ローマ)
3. レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院(ミラノ)
4. アントニオ・ガウディの作品群(バルセロナ)
5. バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院(バルセロナ)
6. グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区(グラナダ)
7. マドリードのエル・エスコリアル修道院とその遺跡(マドリード)
(フィレンツェ歴史地区、コルドバ歴史地区)
■旅の種類
イタリア、スペインを同時に回るツアーは実は多くない。オーダーメイドするか、ローマinマドリードoutのチケットを買って自力で移動すれば確実だ。もうひとつオススメしたいのは、バルセロナから豪華客船で巡るローマへのクルーズ。これについては最後に簡単に紹介する。
ロマンティック建築ルートのテーマとお楽しみ
世界遺産「フィレンツェ歴史地区」の象徴サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。ルネサンス期を代表する建築物ながら、ゴシック建築の技法も用いられている。 |
そんな風にただ街並みを散策し、眺めているだけでも十分楽しいのだけれど、それがロマネスクの建物であるか、ゴシックのものであるかわかったら楽しみはさらに広がっていく。これらを学問的に解釈するのは難しくても、実際建物を見比べてみれば一目瞭然。感性と知性、両面の楽しみを存分に味わうというのがこのルートのテーマなのだ!
ロマンティック建築の基礎知識
ヨーロッパの建築史を簡単に解説しておこう。ヨーロッパ建築が最初に花開いたのは紀元前後のギリシア・ローマ時代。ローマ帝国の中心ローマはかつてないほどの繁栄を極めた。ローマ歴史地区にあるフォロ・ロマーノがその中心だ。
10世紀末にローマ時代の芸術・文化を再現しようと「ローマ風の」を意味するロマネスクが起こる。さらに12世紀からはより光を取り込むゴシックが広まり、骨組み構造のトゲトゲしい塔やバラ窓を特徴とする建築物が増えていく。
キリスト教的禁欲に対して芸術を回復する運動は高まりつづけ、ついにルネサンスで開花する。さらにバロックで円熟すると、ヨーロッパ石造建築は完成期を迎える。
精緻な模様がとんでもなく美しい世界遺産「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区」登録のアルハンブラ宮殿回廊。 |
ロマネスクとかゴシック、バロックと言われてもパッと来ないあなた。この旅を終えればひと目でその区別がつくようになるはずだ!
各地のハイライト、イタリア編は次のページへ。