文化遺産には大きく分けてふたつのタイプがある。有形文化遺産と無形文化遺産だ。世界遺産条約は文化遺産に関して、これまで有形の不動産に限って登録してきたが、2006年4月に発効した無形文化遺産保護条約によって、無形文化遺産の世界遺産化が実現することになった。

今回は無形文化遺産の概要と、2008年から2009年にかけて作られる無形文化遺産リストに登録が予定されている全90件の無形文化遺産をすべて紹介しよう。

※無形文化遺産については2013年に新記事をアップしました。以下を参照ください。

世界遺産と無形文化遺産

能面と扇
能面と扇
世界遺産は、普遍的価値を持つ自然遺産と文化遺産を保護しようという活動だ。実は文化遺産は大きく分けてふたつ、有形文化遺産と無形文化遺産に分類されるのだが、世界遺産条約は有形の不動産しかカバーしないため、無形文化遺産には言及してこなかった。

しかし、近年のグローバル化による社会の変容によって、数々の文化が消滅の危機に瀕しており、特に伝統芸能のような無形文化遺産は継ぐ者も少なく、すでに消えてしまったものも数多い。

そこでユネスコが1998年に採択したのが「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」規約だ。これにしたがってユネスコは、2001年から隔年で「人類の口承及び無形遺産の傑作」を宣言しており、条約締結国の中の保護・継承すべきすばらしい無形文化遺産の数々を発表している。

2006年4月、無形文化遺産保護条約発効!

続いてユネスコは2003年、「無形文化遺産の保護に関する条約(無形文化遺産保護条約)」を採択。この条約は30か国の批准で発効されるのだが、2006年1月、ついに30か国に到達。3か月後の4月20日に無事発効した(日本は2004年6月に3番目に批准)。

2005年まで3回発表されてきた「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」は無形文化遺産条約の発効によってその役割を終え、以後発表は行われない予定だ。

2009年9月、条約にしたがって、世界遺産リスト・危機遺産リストと同じような形で、代表リスト(The Representative List:人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)と緊急保護リスト(The Urgent Safeguarding List:緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表)が作成されることになっている。リストにはこれまで発表されてきた傑作宣言の無形文化遺産90件がまず掲載される予定だ。

その後、各国は世界遺産の暫定リストにあたる無形文化遺産の目録を作成。その中から代表リスト入りさせる物件を選び、ユネスコに承認を求める形になる。日本は3件が傑作宣言されており、14件を第一弾として承認させる予定だ。詳細は下記記事を参照のこと。

【関連記事】
無形文化遺産版世界遺産リスト09年作成へ(日本の代表リスト候補全17件リストつき)