ロングステイ/オセアニアでロングステイ

映画で知る「オーストラリア」の暮らし方(2ページ目)

移住やロングステイに人気のオーストラリア。住んでみたいと憧れるひとは、後を絶ちません。1940年代の豪州を舞台にした映画「オーストラリア」にみる魅力の源泉と史実を、今回は特集します。

千葉 千枝子

執筆者:千葉 千枝子

旅行ガイド

アボリジニの歴史とストーレン・ジェネレーション

ナラ
千人近い応募者から選ばれたというアボリジニの少年(C)2008 TWENTIETH CENTURY FOX
映画「オーストラリア」エンディングの字幕スーパーには、2008年、オーストラリア政府は過去のストーレン・ジェネレーションを正式に謝罪した旨の一言が添えられます。主演女優のニコール・キッドマンはじめ、キャストのほとんどを豪州出身者でかためた、この映画。監督のバズ・ラーマンもまた、豪州を代表する映画監督のひとりです。
「ストーレン・ジェネレーション」=失われた世代を意味するこの言葉の背景には、先住民族アボリジニに対する差別、迫害の歴史があります。

キングジョージ
アボリジニ呪術師キング・ジョージが神秘性を際立たせる(C)2008 TWENTIETH CENTURY FOX
紀元前5万年以上も前の氷河期の終わり、島々を伝いオーストラリア大陸へ渡ったとされるアボリジニ。欧州人の入植とともに、追われる立場となりました。映画のなかに登場するアボリジニと白人の混血児・少年ナラに象徴されるように、彼らは家族から引き離され、白人社会の教育を強制的に受けさせられたことから、ストーレン・ジェネレーションを呼ばれるようになります。政府が主導したこの同化政策も、その過ちを認め正式な謝罪にいたったことが、さらにストーリーを正義あるものにさせています。

アボリジニの人口減少が懸念されるなか、時代背景をよく理解し、偏見を抱かないことも、オーストラリアに暮らすうえでは重要なこと。映画「オーストラリア」は、そうした想いを抱かせる内容構成になっています。
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