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名ばかり管理職は会社に残業代を請求できる(2ページ目)

東京地方裁判所でマクドナルドの店長の残業代請求が認められて以降、いわゆる「名ばかり管理職」のニュースをよく目にするようになりましたね。今回は、この「名ばかり管理職」について解説します。

酒井 将

執筆者:酒井 将

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管理監督者とは?

管理監督者とは?
経営に関与していて、出退勤も自由、給料も高い、こういう人が管理監督者です。
管理監督者、つまり「監督もしくは管理の地位にある者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあるものを言うとされています。つまりは、ある程度、経営に関与している人間です。そして、「管理監督者」に該当するかどうかは、「部長」などの名称にとらわれるのではなく、その勤務実態に即して判断されます。

その具体的な判断要素としては、(1)職務内容、権限、責任(2)出社・退社についての自由度(3)その地位にふさわしい処遇などです。ですから、人事についての権限があるとか、部門を統括する立場であったりとか、出社時間、退社時間も自由で、給与も平社員よりも大幅に多い、というような従業員であってはじめて管理監督者といえるわけです。仕事の内容は平社員と変わらなかったり、タイムカードで時間管理されていたり、給与も平社員と大差ないのであれば、「部長」「課長」「店長」などの役職名がついていても、管理監督者ではありません。

具体例は?

過去に管理監督者にあたらないとされたケースでは、たとえば以下のものがあります。
・材料の仕入、売上金の管理等をまかされているが、出退勤の自由はなく、仕事もウエイター、レジ係等全般に及んでいる「レストラン店長」
・部下の人事考課や機密事項に関与しておらず、出退勤の自由もない「銀行の支店長代理」
・一般従業員と同じ賃金体系・時間管理下におかれている「取締役工場長」

もし、「自分も当てはまるのではないか?」と思ったのならば、なるべく早く弁護士に相談に行きましょう。残業代は2年で時効にかかってしまいます。


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