シンプルライフ/シンプルライフの達人

砂漠を走るシンプルライフ!(3ページ目)

草木も生えない、生き物の影もない、地球上で最も過酷な環境の一つ「砂漠」。そこを七日間かけて250キロを、何度も走破してきた女性に、究極のシンプルライフをお聞きします!

金子 由紀子

執筆者:金子 由紀子

シンプルライフガイド

砂漠レースに必要なモノ

2007年フランス・トランスアキテーヌ。レース前の荷物。砂漠で生き抜く全てのツールを自分で背負う(峯澤)。(c)m.minezawa
ガイド:レースには体一つで参加できるんですか?
峯澤:それが、すべての持ち物は、基本的には自給自足で、自分で背負います。水だけは、1日約10.5リットルまで支給されます。
ガイド:食料も? お弁当とか出ないの?
峯澤:全部自分で考えてパッキングしなくてはいけません。また、「必須装備品」というのが決まっていて、それらをすべて持たないと参加させてもらえないんです。食料については、1日最低2100キロカロリー分を持つことが義務づけられています。

すべて自分が責任を負う

1日ごとにジップロックに入れて持って行く。「どんべい」と赤味噌の味噌汁で味噌煮込みうどんを作るなど、あるもので工夫して少しでも楽しむ(峯澤)。(c)m.minezawa
峯澤:シティマラソンとは違い、全行程の7割は、前にも後ろにも誰もいない砂漠を走ることになるのですから、何かあったら自分で自分をレスキューしなくてはなりません。そのために、必要なものはすべて、自分が持っていなければならないんです。ゴミも持ち帰ります。また、他の参加者に水や食料を分けることは禁じられています。
ガイド:でも、モノの貸し借りとかはあるのでは?
峯澤:ありますが、あんまり頻繁に人に借りたり、頼っている人というのは、精神的にも弱いのか、すぐ脱落していきます。
ガイド:つまり、すべてが自己責任?
峯澤:そういうことになりますね。

便利なモノは邪魔?

ナミビア・フィッシュリバーキャニオン、世界で2番目に大きな渓谷。急勾配の坂や川、崖のぼりと変化に富んだコースでしかもとても暑く、初日にしてリタイア者続出。たった15キロでトップとラストランナーの時間差はなんと6時間(峯澤)。(c)m.minezawa
峯澤:上位入賞するようなランナーだと初日の荷物の重さは7~8キロですが、初心者では15~6キロになることもあります。最初は「これがあったら安心かも」「これもないと心配」と、あれもこれも詰めこみがちですが、便利と思って詰めたモノが、走り始めると今度は重さが負担になります。経験を積むにつれ、次第にムダがそぎ落とされてタイトになっていくんでしょうね。
ガイド:峯澤さんは?
峯澤:このレースに参加するようになってから、モノに対する判断力が付いた気がします。
「これ、いいかも」「また使うかも」という、モノに対する執着とか所有欲がなくなって、「要らない!」っと即決できるようにりました。

達人ランナーになると、モノを持たない代わりに、創意工夫でしのぐワザが身に付くそうです。スリーピングマットを持たずに、キャンプで出るダンボールを敷いたり、コッヘルを持たずに、ペットボトルの底を切って食器にしたり。なんだか楽しそうですね。
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