チョコレートを食べたことのない子供がカカオ労働を‥
「チョコを選んだら、お部屋が片付いたんです」(保坂さん) |
保:昨年、テレビで偶然、チョコレートに関する番組を見たんです。原料となるカカオが、どのようにして生産されるか。取材されたのは、5歳と8歳の兄弟でした。学校も行かせてもらえず、早朝から夜遅くまで、高い木に登らされ、カカオの実を採取する仕事を、遊ぶことも許されずにさせられている。
ガ:児童労働ですね。
保:そうです。レポーターが、
「このカカオが何になるか知ってる?」
と聞くと、幼い兄弟は、
「? 知らない。何になるんだろう‥」。
もう、たまらない気持ちになりました。こんなにおいしいチョコ、子供だったら誰もが大好きなチョコが、それを食べたこともなければ見たこともない子供たちによって作られているなんて。そのチョコを、私は何も知らずに食べていたなんて‥。
フェアトレードで買いたい!
フェアトレードチョコは、お菓子のプロも認める高品質 |
以前から環境問題やボランティアに関心のあった保坂さんは、この番組につき動かされるようにして、フェアトレードへの関心を深めていきます。フェアトレードとは、このような児童労働に代表される、国際間の経済格差を利用して安く生産される商品ではなく、生産者に正当な報酬を与え、格差を是正していく貿易です。フェアトレードのチョコレートやコーヒーは、その代表的な商品です。
保:野菜など、毎日食べるものはなるべく近場のものを、国産では手に入らないものなら、できる限りフェアトレード商品を使いたいと思い、実践してはいるんですが‥。
フェアトレードチョコのショップをオープン!
ガ:フェアトレード商品って、どこでも手に入るものではないですよね。
保:そうなんです。フェアトレード商品が、コンビニやスーパーで普通に買えればいいのに(笑)。そんなとき、チョコレボという活動に出会ったんです。チョコレートをきっかけに、フェアトレードに関心を持とう、という運動です。そこの方たちとのコミュニケーションの中から、
「大手の資本がやらないなら、まず自分でやってみよう」
と思い、仲間や知り合いの会社の協力を得て、先月、フェアトレードチョコの、期間限定ショップを開催したんですよ。普段は別々の場所に行かないと買えない、いろいろなブランドのフェアトレードチョコを、一堂に集めてみたんです。
保坂さんが仲間と開催した期間限定ショップ |
バレンタインを前に、東京・目白でオープンした保坂さんたちのショップは、人通りの少ない立地にも関わらず、チョコは飛ぶように売れ、大盛況のうちに終了しました。ガイドも行ってみたのですが、普段はアパレル会社のショールームとして利用されているスペースを、保坂さんたちは、見事に高級感のある美しい空間に仕立て上げていました。
お部屋はチョコとつながっている
"買い方"が変わると、お部屋も変わる! |
「フェアトレードチョコと部屋が片付かないことの、どこに関係があるの?」
児童労働によって成り立つような経済のあり方が、地球環境を破壊する。
児童労働によって安く作られた製品を、先進国の人々が安易に使い捨てる。
実は、チョコとお部屋は、同じ一本の線でつながっているのかもしれません。保坂さんはそれに気づき、自ら行動を起こすことを通じて、毎日の暮らしを見直すようになりました。
保坂:環境のためにも、モノを作った人たちのためにも、むやみに捨てたくない、ゴミを出したくないんです。だから、絶対に捨てないぞ! と思って買うようになりました。一生捨てたくないから、高価だけれど、大好きなデザイナーの家具をエイヤっと買ったり、流行にとらわれない、シンプルで仕立てのいいコートを選んだりすることが“できる”ようになりました。今でも部屋は散らかりますけど、本当に好きなものだけを持つ暮らしなので、前みたいにイライラしなくなったし、持っている総量が少ないので、すぐ片付くようになりました(笑)。これも、フェアトレードに関心を持ったおかげかな?
バレンタインが終わっても、チョコレボは続きます。シンプルライフって、決して自分だけの暮らしで完結するものではないということを、ご自身の美しい暮らしを持って教えてくれた保坂さん、ありがとう!
※写真掲載のチョコレートはすべて、オーガニックで「フェアなトレード」という意味ではフェアトレードなのですが、工場の規模・認証が下りるまでの期間・費用の問題で、フェアトレードマークのついていないものがあります。文中で便宜上「フェアトレード」で統一したことをお断りしておきます。
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