ゴールデンウィークも終わって、旅にはちょっと間を置きたい。
けれど、心を洗われる風景に親しみたい。
そんなことを思っていませんか。
5月は緑の季節。
緑の木々がくれる精気(フィトンチット)を浴びて、
元気をもらう癒し散策はいかがでしょう。


今回は、知る人ぞ知る都内の穴場スポットをご紹介。期間限定、週末だけ開く門の先に、大正モダンの佇まいと、むせ返るような若々しい緑に出会える素敵な場所ですよ。

渋沢栄一の書庫・閲覧室として建てられた青淵文庫。その名は栄一の号。期間限定の週末だけ、この建物の内部が公開される。



大経済人が愛した重要文化財の瀟洒な邸宅

第一銀行(みずほ銀行の前身)、王子製紙、日本郵船、東京瓦斯(ガス)、帝国ホテル、札幌麦酒(ビール)、東京電力、帝国劇場、田園調布の街作りなどの錚々たる企業や都市計画。これらのすべての事業の創立にかかわった人を知っていますか?
徳川幕府最後の将軍に仕え、明治・大正の経済界を作り上げた大実業家・渋沢栄一がその人です。

渋沢栄一(1840-1931)は現在の埼玉県深谷市に生まれ、最後の将軍・徳川慶喜に仕えて、パリ万博使節団としてフランスで近代的な産業を見たのち、明治政府の役人に。けれどすぐに役人をやめて、実業界に乗り出した人物。
日本の近代化、企業の創立には必ず名前が出てくるような大物経済人です。

レセプションルームとして使用された晩香廬。山小屋風の室内は、和モダンのリゾートホテルを思わせる。
彼が東京の本邸としたのが、北区飛鳥山の一角。飛鳥山公園は8代将軍・徳川吉宗が桜を植え、庶民の行楽地とした風光明媚な公園。この緑豊かな公園の一角に、渋沢が暮らした大邸宅の遺構が今も残っているのです。
大正から昭和にかけて、財界人や外国要人などが数多く集った建物2棟が、2005年12月に国の重要文化財に指定されました。
通常は非公開のこの建物が、今、特別に公開されています。

先日、ガイドも見学してきましたが、ここがなんとも心地よい空間。周囲の緑と相まって、大正時代にタイムスリップしたような、ちょっと懐かしい雰囲気にひたれます。
2つある建物は、ひとつは和風モダンの風雅な宿、もうひとつは洋館のクラシックホテルを彷彿させる建物。
旅に出て宿に泊まることはなくても、十二分にその雰囲気を堪能できる空間です。

次ページではその2棟、晩香廬青淵文庫をご紹介します。