戸田さんが字幕翻訳者としての地位を確立するまでのお話しに興味津々です! |
【目次】
・映画への目覚め~当初の英語学習法
・映画会社でのアルバイト~初の記者会見通訳
・字幕翻訳者としてブレイクするまで
・字幕翻訳という仕事~最も大切なのは「日本語」
・「読む」「書く」「聞く」「話す」は一つとして欠かせない!
・努力家のトム・クルーズに、ジム・キャリーの顔面芸
映画への目覚め~当初の英語学習法
小学校高学年のときに終戦を迎え、アメリカの映画が日本に入ってきました。豊かな生活が映し出される夢のようなその世界に衝撃を覚えました。英語との出会いは、中学校。最初は発音記号だけを勉強するという退屈な授業で、嫌いになりかけましたが、2年生のときの先生が作文や和文英訳など気の利いた宿題を出してくれる先生で、どんどん英語にのめりこむようになりました。大学では英文科に進みましたが、依然として読んだり書いたりするだけの勉強法で、話したり聞いたりすることはほとんどできませんでした。それより大学時代は映画館に通い詰める日々でしたね(笑)。それほど、映画が好きだったのです。今みたいにビデオもDVDもありませんから、そのとき勝負。とにかく集中して映画を観ていましたよ。映画会社でのアルバイト~初の記者会見通訳
いよいよ大学卒業、というときになって「さて、これからどうしよう」と思いました。そのとき初めて、自分がこれまで観てきた映画に「誰かが日本語の字幕を付けている」ということに気付いたのです。とにかく映画に触れていたかったから、その映画会社の門をたたきました。しかし、そこは10人ほどの男性が独占して仕事を行っているところで、大学を出たての女性の出る幕などありません。どうにかこうにか、アルバイトにたどり着き、30歳代までただのアルバイトとして過ごしました。そんなある日、俳優の記者会見で通訳をする人材が必要になったのです。英文科を出ているというだけで、自分が通訳として出されることに。それまで英語で話したりしたことはほとんどありませんでしたから、それはもう困りました。しかし、有無を言わさず放り込まれてしまったのです。もちろん記者会見の通訳はボロボロ。うちひしがれていたら、不思議なことにまた話が来たのです。どういうことかと思ったら「映画をよく知っているから」ということでした。英語力を買われたのではなく、映画を知っていたからだったのですね。通訳・翻訳は、いかに訳す内容を熟知しているかが大切なのだと思いました。
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