人生の節目に重ねて留学する30代
「失うもの」をたくさん抱えた、ある意味ハッピーな環境では、人はついつい守りに入ってしまい、夢や希望に対しても妥協してしまうのかもしれません。「このままでいいのかな?」という思いがあっても、年齢を重ねるにつれ、新たな可能性よりもリスクが気になるのは、何も留学だけに限ったことではないでしょう。
だけど、時にはリチャージやリセットも必要。そのタイミングが30代で訪れる人もいるでしょう。実は、30代で留学している人の中には、人生の節目に留学を選んだ人が多く見受けられます。
病気、入院、失業、休職、退職、独立、離婚、離別といった出来事に向き合い、自分自身を見つめ直す中で、「人生はほかでもない自分のためのもの」という事実に気付いた人たちです。好むと好まずに関わらず、「誰かのため」や「仕事のため」にガマンしたり、遠慮したりする必要のない環境に置かれた人たち、という言い方もできるかもしれません。
思えば、あまりにも若くして亡くなった久和ひとみさんもその1人。ニュースキャスターとしての契約終了と同時に離婚したのが35歳。ニューヨークへ向かう機中は涙にくれていた、という彼女が、日本では気付かなかった「新しい自分」を発見し、2年後に元気いっぱいで日本に帰国するまでの留学体験記は、「ニューヨークで見つけた!新しい私 35歳からの留学ストーリー」(ダイヤモンド社)に詳しく書かれています。彼女のように、大きなものを失った痛みと引き換えに、好きなことや自分のための楽しみを持ち続ける「決定権」とでも言うべきものが、実は自分にあると気付く人は少なくないようです。
あのとき留学しておけば……?
知り合いもいない、言葉も通じない、習慣や考え方も違うなじみのない異文化の中で、自分の意思を伝える、自分を表現する、という作業は、たとえ心が元気なときでも最初は骨が折れるもの。その代わり、余計なしがらみからは解き放たれます。物理的に日本と距離を置くことで、その中にいては見えないことがクリアになることも多いのです。
批判がないわけではありませんが、「海外で自分探し」も大いに結構! 短期留学なら、今の仕事や生活を失うことなく、次のステップに進む可能性も模索できるのではないでしょうか。
「あ~あ、もっと若いときに留学しとけばよかった」という声はあちこちから聞こえてきます。でも、30代以上で留学した人から、行ったことを後悔する話を聞くことはまずありません。きちんと努力して苦労しながら30代で身につけた知識や能力は、きっとその先の人生で大きな財産となるはずです。 「このままでいいのかな?」と思ったら、一歩前進するためのアクションを起こしてみてはいかがでしょうか?