ロールモデル不在の時代
日本の女性たちが、「宝の持ち腐れ」状態なのは、どうしてなのでしょうか? 日本では、1986年に男女雇用機会均等法が施行されました。その前後(1985年~1990年頃)に総合職として採用され、今も働き続けている“均等法第一世代”の女性の声を拾ってみました(内閣府『男女共同参画社会の将来像に関するアンケート』より抜粋)。
▼仕事を続ける上で大変だったこと(複数回答)
- ロールモデルの不在(29.7%)
- 同僚との関係(28.6%)
- 上司との関係(27.5%)
- 子どもの保育(25.3%)
- 子どもの病気(22.0%)
▼何が変化すると、もっと女性が企業の方針決定に携わることができるか(複数回答)
- 女性の採用・登用・活躍推進に積極的になるなどのトップの意識の変化(67.0%)
- もっとチャレンジする意識を持つようになるなどの女性自身の意識の変化(60.4%)
- 仕事と子育てとの両立のための制度の整備と活用の促進(57.1%)
- 保育施設の整備等社会的サービスの充実(50.5%)
- 女性の職業能力に対する偏見、子育てしつつ勤め続けにくい雰囲気など社内、社会の意識の変化(50.5%)
「お手本になる先輩女性がいない」「企業側も女性の扱い方が分からない」「社会の環境や意識が変わらない」という状況の中、奮闘してきたようすがうかがえますね。女性が活躍する社会を推進するには、法や制度の整備だけでなく、現場での女性のエンパワーメント、女性自身の意思や意欲が何よりも重要であるといえそうです。
ちょうどバブルが崩壊する前に社会に出た均等法第一世代は、現在40歳前後。そろそろ社会の中核を担いつつあるこの年代が、後に続く20~30代の女性たちのロールモデルとなるのでしょう。
海外で考える「女性の社会参加」「男性の生活参加」
前ページのグラフで示されているように、日本人が留学やワーキングホリデーで滞在する国のほとんどは、女性の社会参画度において、日本より一歩先を歩いています。ロールモデルは、もちろん海外の女性でもいいわけです。滞在中に、「女性の社会参加」や「男性の生活参加」のあり方、社会環境、意識の違いなどについて考えさせることもたくさんあるでしょう。
同時に、海外生活は、「日本という国」「日本人である自分」「日本の常識」を客観的に見ることのできる絶好の機会。その体験は、ぜひ帰国後の社会生活にも活かしてほしいと思います。この際、GEMのランキングは、「日本の女性が能力を発揮するチャンスはこれからどんどん増えていく」ととらえるのがいいのかもしれませんね。
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