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晩年の藤田嗣治を追い、ランスへ(4ページ目)

パリ郊外、藤田嗣治のアトリエで出会ったあのすばらしいフレスコ画はシャペル・フジタ教会の為のもの。じゃあ、この目で彼の画業の集大成を見てみましょ、ってことでやって来ました、シャンパーニュの中心ランス。

執筆者:赤木 滋生

どこまでも美しい珠玉の教会


ネオロマネスクのどちらから見ても美しい教会はアトリエにあった模型どおりの姿。内部には見覚えのある聖母像やキリストの処刑がフレスコ画で壁に描かれている。
せっかくの本場でのシャンパン、思う存分飲みたいところだけれど車なのでそうも行かない。何本か買って帰って後の楽しみと言うことにしよう。時間もころあいだし、再度シャペル・フジタに挑戦だ。

ええっと、入場料は3ユーロか。ここもやはり内部の写真撮影はお断りなのか、著作権の問題は複雑だ。ジャン・コクトーの遺作に関しては特に注意されなかった。彼の作品もまだ著作権が生きているはずなんだが残された家族がいないからなんだろうね。

入口の銘板には拝観案内や連絡先の電話番号が案内されている。
そう言えば、藤田のアトリエには、彼の手作りによるこの教会の模型があったね。なるほど造りはそのままだ。玄関のドアの模様も見覚えがあるな。ドアを入れば正面に例の壁画が描かれている。聖歌隊席の背景や身廊など壁一面に壁画が。ステンドグラスもデザインは彼のものだね。壁にしっくいを塗りこめ、乾かぬうちに一気に描き上げるフレスコ画はかなりの体力を要するはずだ。事実、この教会の壁画はわずか3ヶ月で描き上げたそうだ。80才にしてしかもガンに蝕まれながらの制作はまさに奇跡としか言いようがない、思わず十字を切り、祭壇にひざまずいて黙祷を捧げた。*

*わざとらしくお感じになられるかもしれませんが、筆者は中学高校とカトリック系のミッションスクールに通った為、聖堂の中では祈りを捧げるのが習慣になっています。
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