フランス/フランスの観光・世界遺産

ラベンダーの香りに誘われて、三大シトー修道院(4) セナンク修道院(3ページ目)

ラベンダーの香りに誘われてやって来ましたセナンク修道院。三大シトー修道院巡礼の旅の最後は名前は知らなくとも見れば分かるあそこです!

執筆者:赤木 滋生

今もそこには修道士の生活が
「参事会室の交差ヴォールトも円柱状で交点には葉模様がきれいだね。外から見るとヴォールトを補強するリブが建物の外に張り出してるだろ。これがどんどん進化して、サン・ドニやシャルトルの大聖堂以降のゴシック様式になるとフライイングバットレスといって高いアーチを支える為につっかえ棒を出すようになってくるんだ。」


「窓も全体的に開口が大きくて明かりがたくさん入るようになってるね。鐘楼もあるし、一般信徒が入る施設が出来てきたり、少しづつ世間に開かれてきた造りになってるのかな。」

ドミトリーの下に当たる所が暖房室。ここで修道士は書写や読書なんかをして一日の内で一番長くいた所なんだね。もちろん暖房があったのは施設内ではここだけだってさ。


あっ、あそこにいらっしゃるのが修道士さんだね。ありがちな観光用のなんちゃって修道士じゃなくて実際にここで生活をして祈りなどのお勤めも行っていらっしゃるんだって。もちろん生活するのは一般開放しているドミトリーではなく南側に新しく作られた施設内でらしいんだけどね。


「外回りを見ると鐘楼が目に付くけど全体の雰囲気はやはりロマネスクの簡潔で質素な香りがいっぱいだ。それまでのごてごてとした彫刻や華やかな飾りを否定するシトー会の始祖、聖ベルナールの精神が生きているね。」

いやあ、こうしてシトー会の修道院を見てみるとあらためて壁面一杯に美しい天使から醜い怪物までありとあらゆる彫刻を彫り詰めた、壮大なゴシック大聖堂の美しくもありグロテスクでもある姿と好対照を見せてくれるね。同じ宗教を理解するアプローチとして内と外、陰と陽の精神構造が見えてきてますます興味がわいてきたよ。

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