リュベロンの村々はすべて美しい。どこを走っていても目に付くのは「フランスの美しい村」と書かれた標識。アプトとゴルドの中間にあるルシヨンもその一つ。でもこの村の美しさはちょっと異質。のんびり田舎道を進んで行き切り通しを抜けたとたんに皆があっと声をあげます。
INDEX
■目の前に広がる赤い壁
■顔料の村ルシヨン
■オークル鉱山
■聖ミシェル教会からの眺め
■絵の具製造所跡
■ルシヨンお役立ち情報
■目の前に広がる赤い壁
アプト側からルシヨンに近づくと何の変哲もない丘の切り通しを過ぎればいきなり赤茶色に染まった街並みが目に飛び込みます。北側は断崖絶壁。しかもフランスには珍しい赤い岩肌。
崖の頂上付近に寄り添うように密集した家々は同じ色に染まり、白い石灰岩質の岩山と建物の黄色が基調の南仏ではとっても新鮮!小さな小さな村なんですがつい立ち寄りたくなってしまいます。
■顔料の村ルシヨン
村の中心はもと小学校跡のパスキエール広場。隣にある郵便局の一角にインフォメーションがあります。18世紀の終わり、1790年ごろ、フランス中に革命の嵐が吹き荒れる直前に一人の村人がこの赤土(オークル)を精製して赤や黄色(オークルというのはフランス語では黄土色にあたります)の絵の具の原料、顔料にすることを思いつきました。
なにしろ原料は裏山にいくらでもありますからあちこちで真似をするものが現れ、ルシヨンはすっかり顔料の村となり、朝から晩まで岩を粉砕するミルの音が響き渡ったそうです。
もちろん村の家々の壁にもこの絵の具が塗りこめられ、めずらしい赤い崖の上の赤い村が出来上がりました。