南仏の光あふれる初夏。急坂を登りつめると、眼下に広がる美しい村々と紫紺のグラデュエーションからほのかに香るラベンダの香り。ここまで来てしまいました、リュベロン。
イギリスの小説家ピーター・メイルの「南仏プロヴァンスの12ヶ月」がベストセラーになり世界各国の観光客が押しかけたこの地方も今はすっかりブームが去り、落ち着いた美しい村々本来の良さを取り戻しました。
そんな中、遠く丘を望み澄んだプロヴァンスの空気の下で、こじんまりとした城と教会の塔を中心に南仏瓦を葺きあげたライム色の家々が肩を寄せ合うように集まった村があります。あまりに愛らしいたたずまいに思わず立ち寄ってしまった、そんな村の一つがルーマラン(ルールマラン)、今日はこの村の住人になってみましょうか。
INDEX
■ルールマラン、ゆったりと時は流れる
■芸術家と職人に愛される美しい村
■テラスに腰かけエスプレッソでも
■何もない、それがいい
■隠れ家のようなオーベルジュ
■ルールマランお役立ち情報
■ルールマラン、ゆったりと時は流れる
アプトに向かう県道943号線が坂道のふもとで大きく西に向きを変えると突然目の前に美しい村が現れます。統一感のあるライム色の家並みに入ってゆくとくねくね曲がった細い道の両側に小さなお店が並んでいます。ちょっと道が開けた所がフォンテーヌ広場もちろんきれいな泉が湧いています。
泉の周りにはパラソルで日よけされたテーブルと椅子が並び、人々はなにをするでもなくのんびりと飲物をすすっています。たまに行き交う人も、客やお店の人々もせかすでなし急ぐでなし、時とともにまことにゆったりと流れて行くようです。
■芸術家と職人に愛される美しい村
お城も小ぢんまりなら村も小ぢんまり、リング状になった通りのお店をひやかしながらぶらぶら歩けば30分もしない内に元の広場に戻ります。でも小さい割にはお店が多い。それも、八百屋さんや雑貨屋さんに混じって、ARTSとか、ARTISANATやANTIQUAIREなどの入った趣のある看板があちこちに。