フランス/フランス関連情報

美しい城館(シャトウ)と女の戦い続編 城館に渦巻く嫉妬と陰謀の嵐

のどかなロワール谷のほとり、優雅にたたずむブロワ城。そこで繰り広げられたカトリーヌ・ド・メディシス、3アンリと美しき女達の嫉妬と陰謀とは。フランス王家にまつわる愛憎の物語・・・

執筆者:赤木 滋生


16世紀フランス。ロワール川流域に宮廷が華やかさを競っていた頃、カトリーヌ・ド・メディシスは夫、フランス国王アンリ2世と長男フランソワ2世を立て続けに失います。そして次男シャルル9世が即位すると共に摂政として自らフランスを思い通り牛耳ることが出来るようになりました。当時吹き荒れた宗教改革の嵐とカトリーヌの野望。しかし、もっと興味深いのは権力を握った彼女の、ブロワ城とシュノンソー城に展開されるきわめて人間臭い嫉妬と陰謀の嵐でした。

  ■偉大なる田舎フランスに食文化を
  ■ルネサンスの香りブロア城に渦巻く嫉妬と陰謀の嵐
  ■熱き女の戦いの末服喪の場へ



■偉大なる田舎フランスに食文化を
シュノンソー城からにっくき妾、ディアーヌ・ポワティエを追い出したカトリーヌ・ド・メディシスはディアーヌの香りを消し去ると共に自らの好み通りの城にするため大改造に取り掛かりました。

当時の文化の中心は何と言ってもイタリア。ルネッサンスの大流行と共に洗練された多くの城館がロワール流域に建てられました。このルネッサンス運動の推進者こそメディチ家、一族出身のカトリーヌのセンスの良さが分かろうと言うものです。彼女の好みが存分に生かされたシュノンソー城はすっかり美しい姿に生まれ変わり、現在でも世界中の観光客をうっとりとさせてくれます。

新たにしつらえられた庭や優雅な外観はもちろんですが、注目したいのが厨房!地下に降りると広々とした台所には機能的なオーブンやさまざまな工夫を凝らした調理器具。見慣れぬロースターは時計仕掛けで時間を掛け、ゆっくり芯まで焼き上げるハイテクぶり。

今でこそ食文化の中心を任じているフランスですが、当時はただの田舎。特に口が肥え、洗練された文化の中で育ったカトリーヌにとって、単純な煮込みや焼物しかない料理を手づかみで食べるなんて野蛮きわまりなくとても我慢できない物でした。

そこで、彼女が故郷イタリアから持ち込んできたものは豊富な食材と調理法、ナイフやフォーク、忘れてならないテーブルマナー。トリュフやアイスクリームなども彼女の紹介。マカロンといえばフランスのデザートとして定着していますがこれも実はカトリーヌが持ってきたものだったんです。
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