“invisible”から“visible”に
「歳を取ってきた親だけで田舎に住まわせておくのはちょっと不安」。確かに住めば都といいますが、長年住み慣れた土地を離れるのはやはり親にとって一大決心が必要なことであるのは間違いないでしょう。 |
ガイドには、親のうちの一人が半身不随になった後、「マンション内『近居』ですら介護がまかない切れず、別のマンションを買って同居した」知人がいます。また、もともと日本の社会保障制度は、先進諸国の中でも突出して「家族」の労に依存してきた背景もありますし、だいたい「子育て」や「親の老い」や「病気」そして「死」というものは決して“目に見えないもの”でも“きれいごと”でもありません。
一見して核家族同士、互いの自由は侵食せず、楽しいイベント時には節度を保ちながら交流を愉しむスマートな親子『インビジブル・ファミリー』。でもこの「同居ってわけじゃないから、近くに住むだけだから、助け合えて便利だから、困ったとき安心だから」というエクスキューズを唱えている間に、ジワジワと“見えない”鎖が私たちを絡めとろうとしているのではないか、などと疑うのは、いささか被害妄想に過ぎる戯言なのでしょうか。
「それじゃあ一体どこに、誰と、どのように住めば“正解”なのか?」。核家族を築くガイド自身「ただいま考え中」、でも忘れてはならないと思うことが2点だけあります。
それは、「『近居』『隣居』するとして、その蜜月は有限のものである」という意識でいること、そして「蜜月が終わったとき、互いの暮らしや住まいをどう再構成するか」というヴィジョンを持っておくこと。
この2点だけは、つねに頭の片隅に残しておきたいし、“visible”にしておきたいのです。鎖は視覚化してこそ解く糸口が見出せる、心配性といわれようとペシミストと呼ばれようと、そう思われてならないのです。
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【参考サイト】
第5回 超長期ビジョン検討会 議事次第・配付資料より(環境省)
NRIニュースレター (野村総合研究所)特集 新しい家族のかたち インビジブル・ファミリー
インフォシークニュース「インビジブル・ファミリー」の快適度 (ゲンダイネット)