時間を稼ぐことで失われるものとは?
「家を買う」と、住んでいる街のいいところも悪いところもどんどん気になりだしてきます。でもそういう「気になる度」が上がることで、その街をよくしようという気持ちも強くなる。それもまた、「買う」の醍醐味のひとつなのではないでしょうか? |
「家を買う」ことは、「自由を失う」ことと同義だと考える人がいます。確かに、基本的にいつでも引っ越し可能で、日本全国どこにでも住み替えられる「賃貸暮らし」の自由度と比べてしまったら、買ったら最後おいそれと売りにも出せない・借金は背負う(貯金は減る)・地元とのしがらみは増える「持ち家暮らし」は、息苦しくてかなわないはずです。
けれど考えてみれば、「就職」や「結婚」「出産」なども似たところがありますね。責任を負い、義務を負い、自由は減る。けれどその代償に見合った果実の甘さは、多くの人が知るところでしょう。
「家を買い、その土地に根を下ろす」=「定住する」ことのもたらす心の安定感というものは、いささか説明しがたいものがありますが、これもまた食べてみて分かる甘い果実の一つなのではないかと思います。
確かに、こう言ってしまうと身も蓋も無いかもしれませんが、「家を買うか、買わないか」ということは、そもそも実に個人的なことであり、他人にとやかく言われる筋合いの話ではありません。
買う「適時」もいついつがベスト!とは言い切れません。各家庭の事情に左右されることです。
でも、これだけは言えます。「ベストタイミングを見定めようとするがあまり、ベターな時すら見逃し、わざわざバッドタイミングで家を買ってしまうことだってある!」。
よくよく考えて行動した人すら「家は三回建てないと……」とか言い出すほど「家を持つ」のは難しいのです。いわんやなーんにも考えていない人をや!
「運」とか「縁」とかいうものもありますが、それは「適時」を推し量ってきたからこそ手に入れられるものに他なりません。
・・・
あなたの考えが、もし、『“とりあえず”“今のところ”は賃貸に住んでいるけれど、“そのうち”“いつか”“時期が来たら”家を買ってもいいと思ってる』か、或いはこれに近いところにあるのであれば、
それは目前にある
のかもしれない、……という意識を持っても、良いのではないかと思います。
何故なら、それこそ、「家を買ってもいいんだけど、ナァ……」と呑気に構えていられるだけの、「パワー(体力)」も「手間(ヒマ、時間)」も、「お金」も、今ここにあるという、証拠なのですから。
>>>45歳なんて目前?! でも焦らずに!
>●建てどき /藤原和博 著(情報センター出版局)