買うのはトクかソンか?
バブル以前、日本の『住宅すごろく』がうまく機能していた時代であれば、一も二もなく「買ったほうがトク! トク! 絶対トク!」と言えたのでありましょうが、現時点でそんなことを言っては大変なことになります。でも、かつては結婚したら都心の『モクチン・アパート(木造賃貸の略)』、子どもができたらちょっと郊外の『団地(分譲マンションのはしり)』、子ども部屋が必要になったらそれを売って更に郊外の『一戸建て(オメデトウ! アガリです!)』へと、「売って、買う」ちゃくちゃくとしたステップアップが可能だったのです。実際、このようなプロセスで購入されたと思われる一戸建てに育ったという方も、第二次ベビーブーム世代にはけっこう多いのではないかと思います。
「中古の家でも、買ったときより高く売れる(か同程度で売れる)」のであればそれは文句ナシに『トク』ですよね。でも今の時代に、かくシンプルに、目に見えて『トク』をするために家を買う、というのはナンセンスと言っても良いでしょう。どちらかというと、いま家を買うというのはお金の面だけで言えば漠然と『ソン』に近いのかもしれない…ぐらいの認識でいたほうが間違いがないでしょう。
私たちの「住まい」である不動産は、『住む』という目的の他に『投資』として扱われることはよく知られていますよね。しかしよく住むための家と投資するための家をゴッチャにしている方を見受けるのですが、それはいささか「チガウ」もの、その住まいの持つ「意味」はまるで異なるのではないでしょうか? というところから先ず考えていただきたいのです。
精神論に近くなってしまいましたが、この「意味」を考える作業は家探しのうちで一番大事な根幹を担うものだと私は思っています。
拙稿、
家を見れば人が見える~住まいは何のためにある?
基本に立ち返ることが いつも大切です~住まいはどう探す?!
でも既に触れています。ややカタイ記事ですが、併せて読んでいただいて、『損得勘定』の参考にしていただければと思います。
次のページ→そのための第一歩『試し住み』とは?