■融資の面での差異
住宅金融公庫では、通常1住宅につき1口に限り利用できるとされています。これが、
<区分登記>
できる二世帯住宅を建てた場合には、親と子で2口の融資を受けることが可能になります。
※但し、親が高齢の場合、返済期間が短期化されると返済の負担が増すことになるので、必ずしも有利だとは言い切れません。<共有登記>にして割増融資を受けるほうが良い場合もあります。
■節税対策としての差異
大きなものが、家を建てた後かかる登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税などの税制面のメリットです。
<共有登記>と比した時、<区分登記>は1戸あたりの面積を小さく計上できることから、えてして面積が大きくなりがちな二世帯住宅を建てる場合においては、節税効果が大となるのです。
また、相続税は親の所有する部分にかかるものですが、これを<区分登記>の際、子サイドの所有割合をできるだけ大きくしておくことによって節税することが可能となります。
さらに所得税の節税となる住宅ローン控除においても、<区分登記>することによって2世帯ぶん軽減されることになります。→『どう使う?新住宅ローン減税』
住宅を取得する際の贈与税は課税の免除や軽減の措置が多く取られています。これらを上手く利用する方策として<区分登記>は有効であるといえるでしょう。
(個々のケース・条件によって節税効果は異なります。詳細は税務署等にお問い合わせください。)
「せっかく"同居"するのに、玄関を別々にしたりするなんて水臭い…」と親御さんの世代は思われるかもしれませんが、こんなメリットがあると言えば、ほどよい距離感をもった『二世帯住宅』が案外すんなり建てられるものかもしれません。
お金の出し方、暮らし方を"登記"という視点から見直すことで、『幸せな二世帯住宅』に一歩近づくことができるのではないでしょうか。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。