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組み合わせの妙フュージョン料理

フュージョン=融合。マネることや既存のものを組み合わせて新しいものを作ることが得意な私たち日本人にとっては、むしろピッタリな料理文化なのかもしれません。

執筆者:桜 美香

フュージョンとは「融合」という意味。フュージョン料理とは、日本、アジア、フランス、イタリア、中華、などそれぞれの料理がボーダーレスで融け合わさった料理のことです。グルメ本やレシピ本のインデックスにも、今までの中国料理、日本料理、フランス料理、タイ料理、、、などに混じってフュージョン料理というカテゴリが堂々と存在するようになっています。

「料理」はその国や地域の文化であり、フランス料理、イタリア料理、日本料理、中国料理等、それぞれ独自の歴史や体系を持っています。しかし最近、これらの食文化はバラエティーに富んださまざまな味覚が融合されるようになってきているのです。こうした自由な発想とスタイルでさまざまな国の多様な料理の要素を合わせ持って作られたフュージョン料理は、一部の創作レストランだけの話ではなく、デパチカのお総菜チェーン店やファミリーレストランなどでも手軽に体験することができます。

まずは、ニチロの冷凍食品で大ヒットしたそばめし。これは焼きそばとチャーハンを組み合わせた神戸名物で、まさに「融合型」の料理と言えます。

デパチカなどでお馴染みの惣菜チェーン店ロック・フィールドではその名も「融合」というお惣菜店を展開しています。アジア料理とイタリアンやフレンチ料理とを融合させて作った新しいお惣菜は、デパートや駅ビルで「RF1」「神戸コロッケ」「地球健康家族」「サラダバッグ」などの各店舗で買うことができます。

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こうした複数の国の料理や食材を融合させて、今までにない料理や食べ方のスタイルをつくり出すというフュージョン料理。作る側から言えば、世界各地から日本に集められた豊富な食材の数々をひとつの料理に完成させるために、各国料理の中から必要な要素を選び出し、ベースとなる料理に自在に取り入れていくということです。そうして“和風テイストのイタリアン”や、“アジアンテイストのフレンチ”の創作料理が生まれます。
「フュージョン料理」のはしりとして登場し、すでに私たちの食生活にすっかり定着しているものには、中国の伝統的な料理に“フレンチ”の要素を取り入れ、食材から調味料、盛りつけに至るまで、今までの常識にとらわれない全く新しい中国料理を完成させた『ヌーベル・シノワ』、日本の「寿司」をアレンジして『SUSHI』という料理スタイルを生み出した『カリフォルニア・キュイジーヌ』、同じくカリフォルニアで定番の『フレンチチャーニーズ』などがあります。

定番の正統派メニューはどこのレストランに行っても味わうことができますが、フュージョンメニューの場合は、料理人の「融合」の方法や基礎力量や知識・経験などによって、数え切れない種類のオリジナルメニューが誕生します。「融合」させることでより美味しいものを創り出すのですから、そこにはキラリと光る個性や腕、発想の豊かさが不可欠。私たち食する側にとっては、料理を味わう楽しみの他に、そのアイデアに驚かされることでより一層、食事を楽しむことができるのです。

例えばフレンチやイタリアンなどの比較的重いコース料理の途中に一品、和食のさっぱりした小休止が出されることで、舌も気分もほっと一息することがありますよね。こうした組み合わせの妙が楽しめるのは、それぞれの料理が決してミスマッチせず、融け合ってひとつになっているから。見た目に奇をてらうだけではなく、食べてみたら予想に反した食感や味が体験できる、という魅力がないと、「組み合わせること」自体が簡単なだけに、本当に満足できるフュージョン料理とは言えないのだと思います。

フュージョン料理。カレーライスとおみそ汁、里芋の煮っころがしとハンバーグ、が一緒のテーブルに並んだりする、柔軟な舌を持つ私たち日本人にはぴったりのスタイルなのかもしれませんね。

さて、次のページでは、「チャイニーズ&タイ&イタリアン+和風少々」な、ワインにもピッタリな前菜レシピをご紹介いたします。

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