予期せぬ飛来に名古屋のファンはびっくり
この日の午前中に予定されていたテープカットなどの就航記念式典も、ひとまずすべて中止が決定。スタッフの何人かは身体の力が抜けてしまったように呆然と宙を見つめています。少し待って、私はセントレアで働く知人の携帯を鳴らしてみました。セントレアでは反対に、予期しなかったA380の飛来に大騒ぎになっているようです。そのことを知ったMさんは、うらめしそうに私に言いました。
「名古屋はもう雲が切れ始めたんですね。西からの雨雲があと2時間だけ動きを早めてくれれば、いまごろは私たちがお祝いの大騒ぎをしていたはずなのですが……」
でも、仕方ないですね。今日がどんなに特別な日でも、安全が第一です。明日からは毎日、A380は東京にやってくるのですし、おかげで名古屋のファンたちも“彼”の雄姿を間近で見ることができたのですから。それから1時間ほど空港の記者クラブの人たちと情報を交換し、再びMさんらが待機する出発ロビーに戻ったとき、ちょうどMさんの携帯が鳴りました。
「了解。ちょっと待って」と、彼は相手と話したあとで通話を中断し、私に言いました。「636便、こっちに向かったみたいです」
上空の天候が回復し、たったいま成田へ向け名古屋を発ったという知らせだったようです。笑顔を取り戻したMさんは、「じゃあ、また」と私に会釈し、元気に持ち場に帰っていきました。
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