頑固なまでの正確さを受け継ぎ
“10分以上遅れない”を実現
Sさんがヨーロッパへの出張でLX169便を利用するのは、もう一つ別の理由もあります。それは、運航時間の正確さ。「フライトで私たちビジネスマンが重視するサービスは、せいぜい食事くらいです。ほかに望むのは、とにかく時間どおりに飛んで欲しいということ。限られた時間の中で、常にぎりぎりのスケジュールで行動していますから」とSさんは言います。
なるほど。“10分以上遅れて離陸したことがない”──スイスインターナショナルエアラインズというと、まず思い浮かべるのがそんなフレーズです。これといって目立ったエンターテインメントがあるわけでもないのに、同エアラインはスイスエアーの時代から利用者たちに抜群の支持と信頼を得てきました。
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| 昨年7月からはルフトハンザと経営統合され（左）、チューリッヒ国際空港も同グループの第3のハブに（右） |
発注した飛行機の製造工場に社員を派遣し、ボルトの締まり具合やビスの打ち方まで一つひとつ点検する。そんな取り組みを、同エアラインのスタッフたちは一貫して続けてきたといわれています。「自分たちが飛ばす飛行機の安全性は自分たちで守る」──これはある意味で、当たり前の考え方かもしれません。スイスエアーは2001年の“9.11”米国同時テロによる大西洋路線の急激な収益悪化により、経営が破綻。その後、2002年3月にスイス政府30％、民間70％の資本援助を受けてスイスインターナショナルエアラインズとして再スタートを切ったわけですが、“頑固なまでの正確さ”は新会社にも確実に受け継がれています。
そしてその背景には「社員と、社員のもつ経験を何よりも大切にする」という同社ならではの経営理念がありました。
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