今年7月、ボーイングが開発を進めてきた次世代機787の1号機が完成し、アメリカ・ワシントン州のシアトルで盛大なセレモニーが開かれました。

ボーイングが13年ぶりに世に送り出す787は、200~300人乗りの中型機で、東京/ニューヨーク間などの長距離をノンストップで飛ぶことができます。特徴は、これまでの旅客機とは根本的に異なる特性を有し、そこには“メイド・イン・ジャパン”のテクノロジーが大きく関わっていること。ボーイングの技術者たちは「日本の技術協力がなければ787の誕生もなかった」と口をそろえます。

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【P.1】 全重量の50%以上に画期的な和製新素材を使用
【P.2】 日本の3重工メーカーが全パーツの3分の1以上を製造
【P.3】 ANAも「ローンチカスタマー」として開発から協力



全重量の50%以上に画期的な和製新素材を使用


ボーイング787の特徴ある技術の一つが、従来の旅客機に使用されてきたアルミ合金に代わってボディや主翼に採用されたカーボンファイバー(炭素繊維)の複合材です。

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今年7月にシアトルで披露された787の1号機(左/ボーイング提供)。軽くて強いカーボンファイバー複合材

カーボンファイバーは“軽くて強い”のが特徴で、ゴルフクラブのシャフトや釣りざおなどに利用されてきました。セーターや毛布などに使われるアクリル繊維を約1,000度という特殊な条件で焼いてつくった糸がカーボンファイバー。787に使用された複合材は、この直径5ミクロンのカーボンファイバーの糸をたばね、樹脂とともに重ねたものを焼き固めてつくられています。

カーボンファイバー複合材は、軽量にもかかわらず、その強度は鉄の約9倍。787は全重量の50%以上をこの新素材でつくったことで、なんと20%もの燃費効率向上を実現しました。そしてじつは、この画期的な新素材の開発で重要な役割を果たしてきたのが、日本を代表する繊維メーカーの東レなのです。


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