乗客のさりげない“おもいやり”を
CAたちは敏感に感じ取る
では、CAたちが好感を持つ乗客とは、どんなタイプでしょうか?
「何かを注文されるときに、さりげない一言を添えていただいたときは嬉しかったですね」と話すのは、ある現役のCAです。「そういうお客さまに接すると、もっと頑張らなきゃと、サービスにもより力が入ります」
他のエアラインのCAたちに聞いてみても、同じようなことを答える人が圧倒的に多い。そのさりげない一言の代表例が「ありがとう」でしょうか。
「え、ありがとうと言えって? 礼を言うべきはあっちだろうが! われわれは金を払って乗ってやってるんだ」
いま、そう思った人──気持ちはわかります。しかし「金を払ってるんだからやってもらって当たり前」という思いがあまりに態度に出すぎてしまうと、なかなかいい関係は築けません。「以前、忙しくててんてこ舞いのときに、何度も何度も手をあげて乗務員を呼ぶお客さまがいまして……。気づいてはいたのですが、つい見なかった振りをしてしまったことがありました」と、別のCAは白状します。「見なかった振り」という態度には賛成できませんが、よほど呼ばれる回数が多かったのでしょうね。
そのまったく反対のケースもあります。たとえば試しに、機内でCAたちがいちばん忙しそうなときを見計らって、誰か一人にこう声をかけてみてください。
「他のお客さんへのサービスがひと通り終わってからでいいんだけどさ──」
すると、そのCAは何と答えるか? 「わかりました。では、のちほどうかがいに参ります」と言うでしょうか? 否。彼女はたぶんその場で「どうぞいまおっしゃってくださいませ。何でしょうか?」と笑顔で問いかけてくるはずです。そして、他の乗客に優先して、あなたが要望したものをすぐに届けてくれるでしょう。
「いつでもかまわないので」「手が空いたらお願いしたいんだけど」──そんなさりげない一言を添えてくれる乗客の“おもいやり”を、CAたちは敏感に感じ取るのです。
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