乗客の安全を守るための行動は
どんなサービスよりも優先されるべき
客室乗務員が機内で乗客から暴力を振るわれる、CAがセクハラ行為を受ける──そんな事例が以前は山のようにありました。
一時期多かったのが、台湾、バンコク、フィリピンなどに団体で買春旅行に行く日本人男性客のケース。行きの飛行機ではおとなしくしていても、現地でハメを外し、お金さえ払えば女性は言うことを聞くんだと気持ちが大きくなって、帰りの飛行機でついCAにセクハラ行為をしてしまう。いまもゼロではありません。「おい、ねーちゃん」と言って呼びつけるなども、これはCAたちの誇りを傷つける行為ですし、酔って暴言を吐く、身体に触れるなどはもってのほか!
「乗客のマナーの悪さは相変わらず」と話す航空評論家の秀島一生さん。 |
たとえばタキシング中に、乗客の荷物を預かるために動き回るなども、本来は禁止されている行為です。いつどこで急ブレーキがかかるかわからないので、乗務員も座ってシートベルトを着用しなければなりません。ところが、相変わらず「そのときの状況を見て」などという曖昧な指導をしているのが日本のエアライン。上空で予期せぬ乱気流に遭遇した際にも、「軽度の乱気流」と判断した場合は飲み物のサービスを継続して行っているシーンなども稀に見かけます。
「乱気流に“軽い”も“重い”もないですよ。私が指揮をとっていたら、絶対にやめさせますね」と、かつてはJALのチーフパーサーだった経験も持つ秀島さん。「たかだか飲み物のために、ケガをしてもいいのか。熱いコーヒーを運んでいて、ふいに機体が傾けば、それを乗客にかけてしまう危険だってあるわけですよ」
エアライン側が恐れるのは、「この会社はサービスが悪い!」といった乗客からの苦情なのでしょう。しかし本当に乗客の安全を守るためには、ときには勇気を出してサービスを中断・カットすることも必要だ──というのが秀島さんの意見。その意見に私も賛成です。そこは、ぜひ徹底してほしいですね。曖昧であってはいけないのです。
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