“食の弱者”を助けたい。それを実現する舞台を、
シンガポール航空が与えてくれた。
京都・東山にある老舗料亭『菊乃井』 |
さて、エアラインジャーナリストの私が、「2005年話題の人」としてなぜこの老舗料亭のオーナーシェフにスポットを当てるのか?
『菊乃井』の村田吉弘さん |
「私はよく“食の弱者”という言葉を使うんですが──」と村田さんは言います。「機内という限られた空間の中では、お客さんはどこにも行けないばかりか、ほとんど身動きすらできない。フライト中はただ食べるのだけが楽しみという人も多いでしょう。それなのにカロリーの高い食事ばかりを強いられていたのでは、利用する人たちが気の毒ですよ。何とかエアラインのミールを変えてやることはできないか。ちょうどそんなことを思い始めていたときに、私にその舞台を用意したいと声をかけてくれたのがシンガポール航空でした」
世界の数あるエアラインの中でも、シンガポール航空(SQ)は機内で提供する「食」について早くから強いこだわりを持ち続けてきました。1998年には機内食をより“進化”させるために、世界各地で名声を得ている著名なシェフたちに協力を要請。そうして結成されたのが各国の一流シェフ9名からなる「ICP(インターナショナル・カリナリー・パネル=国際料理委員会)」であり、日本からは唯一、村田さんがメンバーとして加わったのです。
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