宮崎と鹿児島上空でJAL機2機に落雷
今年、2005年のゴールデンウィーク中に、九州の宮崎と鹿児島上空で旅客機2機が落雷にあったというニュースが入ってきました。
5月1日の午前8時40分ごろ、福岡から宮崎に向かっていたJAL3623便(MD81)が高度約5,000メートルの上空で右翼に被雷。同機はそのまま飛び続け、定時の午前8時に宮崎空港に到着しました。乗客乗員に被害はなかったものの、翼の表面に約25センチの損傷があったようです。
同じ日の午前11時過ぎ、鹿児島県の東約27キロ、高度約5,000メートルの上空では鹿児島発羽田行きのJAL1864便(ボーイング777)が右側車輪ドア付近に被雷。こちらも乗客乗員にケガはなく、また機体にも損傷は見つかりませんでした。
(写真はイメージ)
飛行機が被雷した場合に、乗客に危険はないのでしょうか。
落雷から機体を守る「静電放電装置」
飛行機に雷が落ちても、それが大事故につながることはまずありません。機内の乗客は、金属でできた機体自体に保護されているため、安全です。雷が鳴ったときは車の中にいるといい、などとよく言いますが、これは金属ボディーを通して電気を地面に逃がしてしまうためで、同じことが飛行機にも当てはまります。
また飛行機は、飛行中に大気との摩擦で機体に静電気が生じます。この静電気が計器類や通信機器に影響を及ぼす可能性があるので、機体には主翼や尾翼など数カ所に静電気を徐々に放電させるための「静電放電装置」が装着されています。静電放電装置は、長さ10センチ、太さ1センチの棒状のもの。飛行中に雷を受けた場合でもこれが避雷針の役割を果たすため、機体に大きな被害は出ません。
とはいえ、被雷した飛行機がまったく無事ということはありません。宮崎上空で落雷にあったJAL機は翼に傷が見つかっています。危険はないと言っても、やはり雷には遭わないに越したことはないでしょう。当日の天気図を細かく検討した上で、できるだけ雷雲を避けて飛ぶことがやはり重要です。