旅客機が消えた! ──その情報を入手した米国では緊張が走りました。民間航空機が略奪され自爆テロに利用された「9.11 同時テロ」が関係者たちの頭をよぎったからです。同機の燃料タンクには半分の燃料が積載されていたことから、米中央情報局(CIA)は偵察衛星を使って、可能な飛行距離の周辺地域の捜索を開始。米国務省も外交ルートを駆使して盗難機の情報がないかをアンゴラの周辺諸国に照会しています。
しかし必死の捜索活動も功を奏さず、盗難から1カ月以上が経過した現在もいぜん手掛かりはつかめていません。操縦していたとみられる米国人パイロットも、その後、家族への連絡が途絶えています。
小型機の窃盗や、保険金詐取を目的とした偽装事故は、アフリカではそう珍しい事件ではないそうです。けれどもボーイング727のような大型機が消息を絶つというのは、まさに異例中の異例。フィクションの世界なら、乗客360人を乗せたジャンボ機が忽然と姿を消す『スカイジャック』(トニー・ケンリック著/角川文庫)というミステリ小説があり、私も楽しく読みました。機長が謎の言葉を残して消息を絶つ『巨人機(ジャンボ)が消えた』(斎藤栄著/講談社文庫)なども読み物としては面白い。しかし、現実にこんな事件が起きようとは……驚き以外に言葉はありません。保有会社のオーナーには偽造文書を使っての犯罪歴や、航空機で大麻を運んだ過去があるという噂もあり、背後に何らかの詐欺事件がからんでいるとの見方も浮上しているようです。が、詳しいことはわかっていません。事件はいまも、いぜん謎に包まれたままです。
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