◆スリーレター・コード
空港に到着すると、多くの人はまず電光掲示板のタイムテーブルで搭乗予定の便に変更がないかどうかを確かめます。航空会社と便名を探し、出発時刻を調べ、目的地の空港を確認し……。ところで、世界中には約1万の空港がありますが、そのどの空港も3つのアルファベットで表記できることを気づかれたことがありますか?
国際航空運送協会(IATA)によって決定されたそのスリーレター・コードは「都市コード」と「空港コード」に大別されます。たとえば東京の都市コードはTYO、ロンドンならLONといった具合に。ニューヨークのNYCもよく知られるところですね。また大都市には複数の空港があるため、都市コードとは別にそれぞれの空港コードが決まっています。
東京にある2つの空港、東京国際空港(羽田)= HNDと新東京国際空港(成田)=NRTは、文字を見ただけで空港名が連想できますね。ニューヨークにはJ・F・ケネディ国際空港=JFK、ニューアーク国際空港=EWR、ラガーディア空港=LGAの3つがあります。ところが、なかにはアルファベットから空港名を連想するのが難しいところも少なくない。ベトナム・ホーチミン市のタンソンニャット国際空港はSGNと表しますが、これは旧市名のサイゴン(SAIGON)からとったもの。また米国フロリダ州のオーランド国際空港は、かつてはMACCOY空軍基地のあった場所で、コードはMCOの3文字で表されています。ふだん何気なく見ている空港コードも、その由来を知るとなかなか興味深いですね。
◆出発時刻はどの時点を指す?
タイムテーブルの話をしたついでに、もう一つ。たとえば「ニューヨーク行き○○便、15時20分発」とあった場合、その出発時刻とは具体的にどの時点を指しているかご存知ですか? 出発時刻とは、飛行機が離陸する時刻だと思っている人も多いようです。しかし、それは間違い。では、ボーディング・ブリッジ(搭乗通路)が飛行機から離れた時刻? それも正解ではありません。
出発時刻とは、正しくは停留していた飛行機が動き始める時刻を指します。飛行機は通常、駐機場で旅客ターミナルに向かって正対して止まっています。出発させるためにはトーイングカーで飛行機を誘導路までプッシュバックしなければなりません。機体が初めて動くこの瞬間が出発時刻なのです。みなさんの空の旅も、そこからスタートすると考えてください。機体の周辺で作業していた整備士たちは、出発時刻の5分前になると停留中の安全装置が外されたこと、機の後方に移動を妨げるものがないこと、ドアがすべて閉じられロックされていることなどを確認し、ブロックアウト(前脚タイヤの輪留めの取り外し)を行います。これで出発準備は完了。時刻表に書かれている時刻は、厳密にはこのブロックアウトタイムのことをいうのです。