ニューヨークへ向かうエールフランスの超音速旅客機コンコルドの最後の便がパリ郊外のシャルル・ド・ゴール空港を飛び立ったのは、5月30日でした。大西洋を横断してニューヨークのJ・F・ケネディ空港に到着し、5月31日には折り返して再びパリへ。同社のコンコルド運航は、この便をもって27年間の歴史に幕が下ろされました。秋(10月)には、英国ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)もコンコルドの運航を終了します。
BAとエールフランスの両社がコンコルドの運航を停止すると発表したのは、ことし4月。一昨年の「9.11 米同時テロ」以降、航空旅客市場が不振になったことに加え、機体の老朽化で整備費に多大な費用がかかることがその理由です。2000年7月にはエールフランスのコンコルド機による墜落事故(死者113人)がパリ近郊で発生し、世界に衝撃が走りました。事故後は両社ともに巨額の機体改修費の負担を余儀なくされ、2001年11月まで運航を停止していた経緯もあります。

世界初で唯一の超音速旅客機の歴史終焉を惜しむ声は少なくありません。運航停止発表後、英紙タイムズは「10月で商業運航停止が決まった超音速旅客機コンコルドの残り200回のフライトに座席予約が殺到している」と報じました。BAのロンドン~ニューヨーク間のチケットは、運航停止発表直後の予約が通常の20倍に。コンコルドの搭乗率はそれまで5割を割っていたのに、特別料金で売り出した1,000席は即日完売だったそうです。一方のエールフランスも、通常2割程度だった搭乗率が7割まで上がったとか。「宣伝のやり方次第では、まだまだ商売になるのに……」と嘆く関係者も出始めています。

そうした中、コンコルド運航に新たな名乗りを上げたのが、英ヴァージンアトランティック航空でした。10月で運航を停止する超音速旅客機コンコルドの機体をBAから引き継ぎ、運航を続ける検討を始めたのです。業界筋によると、英政府は1980年代にコンコルドを1機1ポンドでBAに売却したという経緯があるそうで、ヴァージンアトランティック航空も機体の買い取り額を同じ1ポンドとするのが条件とか。「コンコルドは英国の技術革新の象徴。コストを抑えるヴァージンの経営方針なら運航継続も可能」と同社の経営陣は自信をのぞかせているようです。

英メディアが伝えたところでは、BAはいまのところ機体を他社に譲渡する考えはなく、引退後は英米の博物館で展示したい意向だといいます。はたしてどうなるのでしょうか。ファンとしては、博物館で静かに余生を送る“怪鳥”よりも、やはり大空を優雅に舞う勇姿を見たい気持ちが大きいのですが……。

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