JSFとは「ジョイント・ストライク・ファイター」の略。F-16、A-6、AV-8B、F-15Eといった現有主力戦闘機の機能を併せ持ち、1機種ですべての作戦に対応できる“統合攻撃戦闘機”です。
その開発計画には当初、ボーイング社、ロッキード・マーチン社、マクダネル・ダグラス社、ノースロップ・グラマン社、ブリティッシュ・エアロスペース社が名乗りをあげてきました。
1996年11月、アメリカ国防省は各社から出された試案の中からボーイング社とロッキード・マーチン社の方式を選択、米国3軍(海軍、空軍、海兵隊)と英国海軍で共用できる次世代戦闘機の試作機製造が両社それぞれにスタートしました。
垂直離着陸能力、超音速飛行能力、レーダーに捉えられないステルス性、コクピットの最新電子装備……JSFの開発には、いくつか重要な技術的条件がつけられました。なかでも開発段階で両メーカーが最も腐心したのが、垂直飛行能力をいかにして実現するかです。
ボーイング社は英国製ハリアーと同じ原理を採用、エンジンのジェット排気の向きを下向きに変える方式を取り入れました。それに対しロッキード・マーチン社は、コクピット後方、機体中央部に水平に回転する大型のリフトファンを設置。スイッチの切り替え操作でエンジンから駆動軸を通してファンを回転させ、下方向に圧縮空気を噴き出して浮揚力を得る方式を考案しました。
米国防省は2001年10月、JSFの発注先として最終的にロッキード・マーチン社を選択。現在F-16を生産している同社のフォトワース工場で2005年から生産を開始し、2008年以降、米英両軍に納入される予定です。