最高速度マッハ0.9。塔載量約11トンで、航続距離は8,000~1万2,000キロ。電波の反射や散乱を極力押さえるため機体の表面に電波吸収材がコーティングされ、また4基のエンジンの排気熱を瞬時に冷却する装置で赤外線探知も防ぐため、空対空ミサイルによる追尾もかわすことができます。
この“見えない爆撃機”はしかし、初期配備されてから長い間、実戦に出動することはありませんでした。あまりに値段が高いため、撃墜されたり、事故で落ちたりすれば関係者の責任問題になりかねない。ペンタゴン首脳もなかなか実戦使用に踏み切る度胸はなかったようです。なにせ159台のコンピュータを搭載し、価格は1機20億ドル(約2,400億円)とも言われているのですから。
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1999年5月19日未明、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地から飛び立った2機のB2爆撃機は、13時間かけてユーゴスラビア上空まで飛行。目標を攻撃すると、きびすを返して、同じ基地まで一直線に戻りました。乗組員たちは基地で上官への報告を終えると、そのまま帰宅。 まるでサラリーマンの出勤のような光景だったといいます。
戦争や戦闘行為の善悪は別として、最先端領域にみる軍事技術のレベルの高さには、改めて驚かされ、感心させられますね。