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おサイフケータイが抱える本当の問題とは?(2ページ目)

NTTドコモは先日、おサイフケータイ対応機種の契約数が3,000万件を超えたと発表しました。今回はいつでもどこでも気軽に使えるおサイフケータイの利点と問題点、そして今後について見ていきます。

水上 浩一

執筆者:水上 浩一

インターネットサービスガイド

おサイフケータイはセキュリティ面の向上が必須

おサイフケータイの大きな問題点の1つとして、セキュリティ面の不安があげられます。携帯電話はアドレス帳、各種データはもちろん、クレジットカード機能、電子マネー機能などさまざまな情報、機能を内包しています。

つまり、携帯電話を紛失、盗難された場合など、このさまざまなデータを一瞬にして全て失ってしまうということになるのです。現在では多くの人が、財布を紛失するよりも携帯電話を紛失する方が損失が大きいといっても過言ではない程、重要なものとなっています。

おサイフケータイは携帯電話の回線を止めても利用はできてしまうため、それぞれのサービス提供者に連絡をしたり、電話、メール等で電子マネーの機能を止める必要があります。このあたりのセキュリティ面の一層の強化が今後さらに重要になってくるでしょう。

ユーザーは電子マネーの複数利用を求めていない

ユーザーが求める電子マネーの統一はいつ?
ユーザーが求める電子マネーの統一はいつ?
野村総合研究所が今月17日に発表した電子マネーに関するアンケート調査によると、「鉄道・バスの乗車に加えて普段の買い物まで、すべてが1つの電子マネーで利用できるようになったとすれば、あなたはどの電子マネーを使いたいと思いますか」という質問に対し、複数の電子マネーを使い分けたいというユーザーはほとんど存在していないという結果が出ています。

もちろん、これは電子マネーに関する調査ですので、おサイフケータイとなると多少、結果に違いが出る可能性もありますが、基本的に多くのユーザーはできれば1つの電子マネーで全てを行いたいと思っていると考えられます。

複数の電子マネーの共存が可能というのが、おサイフケータイの利点でもありますが、現状ではこの利点はユーザーにとって必ずしもカード型に対するアドバンテージにはなっていないようです。

共通端末を求めるユーザー、囲い込みをしたいサービス提供者

では、いずれ共通端末ができ、ユーザーは1つの電子マネーで全ての決済を行うことができるようになるのでしょうか?

イオンではWAONの他、Suica、PASMO、Edy、iDが利用できる共通端末の設置を進めていたり、セブンイレブンでもnanacoの他、QUICPayが利用できる店舗を増やしています。しかし、電子マネー全てに対応する共通端末はまだ先となりそうです。

なぜならnanacoやWAONなど特に流通系の電子マネーの最大の目的はユーザーの囲い込みです。ポイント制やさまざまな特典を用意し、自店舗へ誘導するための手段として、電子マネーを利用しているわけですから、全ての電子マネーが使える共通端末ができることは、サービス提供側としてユーザーの囲い込みができなくなる危険性をはらんでいるからです。

そういった意味からもカード型よりも気軽に「いつでも、どこでも」利用できるというおサイフケータイの電子マネー機能は、まだまだ発展途上段階といえます。ただセキュリティ面、そして共通端末の整備が整った時には、今まで以上に普及のスピードが進み、今まで以上におサイフケータイ機能が多くの人にとって必須の機能となるでしょう。
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