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女性が口コミしたくなるサイト、商品作成術(2ページ目)

前回に引き続き、日野社長のインタビュー第2弾。今回は女性の行動心理を基に女性が口コミをしたくなるためには?そして女性にモノを売るために重要なことを伺っていきます。

水上 浩一

執筆者:水上 浩一

インターネットサービスガイド

口コミに重要な2つの要素とは?

おしゃべりnet トップページ
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ガイド:
御社では「おしゃべりnet」という女性向けの口コミサイトを運営されていますが、女性に とって口コミしたくなる、もしくはしやすい商品、サービスというのはどういったものなのでしょう?

日野:
楽天で人気の釜庄さんのバケツプリンという商品があります。この商品は女性が口コミ したくなる重要な2つの要素を持った商品なんです。それは驚きとお裾分けです。まず、バケツにプリンというだけで驚くよねというのが あります。もう一つは、バケツプリンは1人では食べれないよねということなんです。あれは絶対に集合体の場所に用意されているプリン なんです。

バケツプリンを購入する人というのは多分、子供の誕生会であるとか、会社であるとか、そういったパーティーとか人の集まる場のために購入 しているのではないかと思うんですね。そうしますと、そこからさらに広がっていくんです。バケツプリンをそこで知った人間が、これっ て子供のパーティーにいいと思って、次に自分の子供のパーティーで使うと、今度はまた別の友達のところへと伝わっていくんですね。

ちょっと複数で食べないと食べきれない。これを私はお裾分けといっていますが、お裾分けには共通性、共有性があるんです。口コミもいわゆる共有ですよね。さらにお裾分けでは一緒に食べるということが重要なんです。

ガイド:
なるほど、商品のインパクトだけではなく、それを共有したいと思えるような商品でないとダメだということですね。

日野:
そうですね。女性による口コミはそういった2ステップあって、人との共有性、共感性を広げていく機能がある、もしくは、自動的に人が集 まる場所に用意される商品を作るということです。

そして、もう1つ重要なのが、ネットであれ、実店舗であれ購入したお店がおしゃれかどうかということです。「あなた、こんなところで 買ってるの?」といわれる自分が嫌いなんです。何かを薦めた時にモノも含めたトータルで素敵ねとか、オシャレねとか、センスがあるね と言われたいんです。

モデルが身につけているもの全てが欲しくなるのが女性

ガイド:
確かに、男性は本当にいいと思う商品であれば、その商品を勧めたいのだから、サイトのデザインはあまり気にしませんね。では ネットショップで女性にモノを売りたいと思った場合にサイトのデザインのほかに大切なことはありますか?

日野:
女性の場合、モノは雑誌で売れるんです。雑誌というのはライフスタイルを提案してくるんですね。女性というのはモノをライフスタイル で見ますので、比較検討サイトだけで検討して買ったりということはあまりしません。トータルで見えないと女性はダメなんです。

男性は欲しい商品、例えば時計が欲しいとなればそれに集中します。つまりモノが中心になるのですが、女性はその時計が大事ではなくて、 その時計に持つバッグは何にするであるとか、その時計をしている時のマニキュアの色は何色にするであるとか、そういったことがとても 気になるんですね。

つまりライフスタイルで見るということは全体が見えないとダメだということです。全体で見ますから蛯原友里さんという人物像がいるん ですよ。そういった特定の人物像がないと当てはめられないんですね。ですから蛯原友里さんが着ているセーターとスカートとネックレスと 全部欲しいのが女性なんです。

男性はモノ、女性は人を見る

ガイド:
つまりネットショップでも女性に売りたいと思ったらその商品だけを見せてもダメだということですね?

日野:
そうです。例えばネットショップで女性に陶器を売りたいと思った時に、その陶器の質であるとか、詳細な商品画像とかも勿論、大事ですが、 それ以上に必ずシーンを入れないとダメなんです。

女性はその陶器が置いてあるテーブルにほかに何が置いてあるのか、陶器の下のコースターは何であるのかを見るんですよ。そういったラ イフスタイルの総合性で売らないと女性には受け入れてもらいづらいでしょうね。

そして女性は男性以上に人を見るんですね。モノを買う時に、これを買う私は友達にどう思われるかとか、彼に褒められるかなど、すごく 人の心理を気にしてモノを買うんです。

物販において、男性はモノ、女性は人なんです。そのモノが欲しいのではなくて、それを持っていることによって、彼に愛される私である とか、友達に自慢できる私になることが大事なんです。

ガイド:
モノがどうだと言うよりもそれを演出するものや周りの人々の反応の方が重要、つまり売る側としては、デザインも含めてその女性に対して モノを提案するのではなく、ライフスタイルを提案してあげることによって、それが結果的にはそのモノの売り上げにつながるということ ですね。



前回の記事も含め、今回の取材で一番感じたことは、日野さんのCGMという言葉が一般に出てくる以前から、その重要性を説いていたという 先見の明もさることながら、コミュニティ、口コミに対する明快で確固とした考え方です。これもやはり、いくつものコミュニティサイト を成功させてきた経験からくるものなのでしょう。

MMD研究所が今月9日に発表したモバイルコマースに関する利用動向調査の結果 によると、モバイルコマース利用経験者の職業比率で主婦は71.8%とかなり高い割合となっており、反面、Eストアが21日に発表した、オンライン ショッピングのトラブルと対策に対する調査(PDF)によると、 トラブルへの不安を抱える人は全体の99.5%に上るという結果が出ています。

ネットショッピングを利用するユーザーが増えれば、その分、トラブルへの不安が増えるということは、ある種、当然の結果ともいえますが、 だからこそ、日野さんがおっしゃっていたように、企業側はその姿勢をしっかりとアピールし、ユーザーに安心感を与えられるようにする ことが重要になってきますし、信頼できるユーザーの口コミというのもますます、価値が高まっていくでしょう。

元々、男性よりも口コミの得意な女性が牽引役となり、ネット上でのCGMがさらに発展していくことを予感させる今回のインタビューでしたが、 その先導者ともいえる日野さんのこれからの展開に今後も注目していきたいと思います。
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