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楽天大学のモデルはMBAの手法であるフレームワーク 楽天大学学長にインタビュー(3ページ目)

ユーザー・テナント数の獲得+「テナント力の強化」がインターネットモール成功のポイント!徹底したテナントとのディスカッションで得たノウハウと要望により進化する楽天市場

水上 浩一

執筆者:水上 浩一

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インタビューを終えて。長時間ありがとうございました。
インタビューを終えて。長時間ありがとうございました。

楽天大学のあとの懇親会を合宿形式でやったら? 究極のモチベーションアップ講座「虎の穴」は、店舗さんの意見を聞く場でもある。

水上:店長さん同士の交流といえば、楽天大学には「虎の穴」という2泊3日の合宿が ありますね。私も実際に参加してその年に月商1000万円を達成したので、その有効性は 実感できているのですが。

仲山:水上さんは、たしか8期でしたよね。いまは19期までいっています。

水上:そうなんですか。この虎の穴、という合宿も楽天大学の特色だと思うのですが、 どのようにして始まったのですか?

仲山:その中で、楽天大学の受講後に行われる懇親会はものすごく為になる、という 話をよく聴いていました。とにかく話が濃い、と。そこからいくつもの アイディアが生まれたり、店舗同士の共同企画も生まれたりしました。 それはたしかにそうだろうな、とは思っていました。
でも、やっぱりお酒の席ですのでそこには限界があるのではないか、と。 そんな中、店舗さんの中から「懇親会のようなディスカッションをセミナーとして 開催できないか?」というオファーをいただいたのです。
通常は日常業務に追われたり、電話がなったり、メールチェック等気になり、 長い時間店舗運営について考えたり、話したりする機会がない。 でも、合宿で外界と遮断された環境で帰り時間を気にすることなく、店舗運営について 仲間と語れたらどんなに良いアイディアがうまれるだろう、と。 大学としても、新しい企画が欲しかった時期なので、合宿形式のセミナーを 企画した、というのがはじまりです。

水上:つまり、ネット環境を遮断した状態で帰り時間を気にしないでシラフで 店長さん同士が昼夜ディスカッションする合宿形式のセミナー、ということですね。 まあ、体験から言わせていただくと夕食後はお酒も入りますが・・・。
でも、本当に濃ゆい話になります。たぶん2泊で睡眠時間3時間ぐらいだったと思います。

仲山:みなさん、朝まで話していますよね。 もちろん、考える枠組みとして、

集客
参客
接客
増客

というキーワードはあるのですが、それについてグループディスカッションを展開して グループ毎に発表、というのをずっと繰り返します。
ここでのポイントは、2つ。
店長さん同士の2泊にわたるディスカッションによってもたらされるアイディアと 具体的には売上10倍、というイメージを実際の数字でシミュレーションすることによって 明確にすること。
そして、もう一つは、時間をかけて参加している、ということです。 みなさん商売人なので、「もとをとってやろう」と思うので、ダラダラとした ディスカッションにならない。本当に必死に討論します、よね?(笑)

水上:はい(笑)私は、7期に参加した店長さんから「自分は2日で4時間しか寝なかった」 と聞いていたので、負けずに3時間しか寝なかった(笑)
そういうライバル心はわいてきますね。と、同時にものすごい仲間意識が芽生えます。

仲山:そう。それも重要です。
自分たちは一人じゃない、と思えただけでもこの合宿に参加する意義がある、といっても 過言ではありません。

水上:実際に虎の穴に参加した店舗さんは、軒並み受講前の売上の10倍を突破されていますし、 中には億単位を売り上げている店舗さんもいらっしゃる。 そこまでいかなくても、ほとんどが売上記録を更新しています。
本当に驚くべき成果だと思うのですが、やはりこの合宿には綿密に企画されたものなのでしょうね。

仲山:もちろん、ノウハウも蓄積されてきていますので、店舗さんの数字をベースにしながら 売上シミュレーションを行ったりというワークは確立されていますし、 しっかりと考えて開催していますが、やっぱり最初はどうなるかとドキドキでした。 でも、いままでの経験から、成功する確信はありましたけどね。
あと、開催してから気が付いたのですが、やはり寝食を共にしながらのディスカッションになる ので、店舗さんの本音を聞くことができます。
これは、楽天としても、モールの運営にとっても大きなプラスでした。

水上:なるほど。楽天市場のサービススタート当初のような、出店店舗側と楽天側の 密な会話、という部分が「虎の穴」で再現されているわけですね。 結局のところ、楽天市場の成功というのは、出店店舗と楽天の連携、というところに つきるのだということを感じました。
本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

楽天スタッフ自らも出店したくなるほど魅力的な「楽天市場」が強さの秘密だった!

「たとえば、私が楽天のスタッフという立場ではなく、なにか(事業を始める等)を やろうとした場合、間違いなく楽天市場に出店するだろうな、と思います」 インタビューの最後に仲山さんははっきりとした口調でおっしゃいました。 この言葉が全てを物語っている、と思いました。
楽天で働いているスタッフ自身が「自分がなにかやるとしたら楽天で」と 思えるサービスとシステムを提供している強さ。 ユーザーとテナント、そして楽天のトライアングルの拡大がインターネットモールの 成功の鍵となっています。
楽天市場がユーザーのアクセスアップとテナント数の増大とともに、 いやそれ以上に重要視したのが、テナントのレベルアップ、そしてテナントとの 密なコミュニケーションだったのです。 流通総額1兆円を目標として掲げている楽天。数字とは対照的にその成功ノウハウは 意外なほどにシンプルで、「人と人との交流」 を大切にしている堅実な理念がその根底にはありました。
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