楽天は楽天以外の外部サイトへのリンクを禁止したため、自社サイトへの誘導は不可能になり、出店による広告効果を期待することもできなくなるのだ。モールに加盟しているメリットは薄れることになる。
といいつつも有力店舗であれば懸念はそれほど深刻なものではない。モールでの売上が全体の1割程度であれば、新料金制導入の影響は少なくてすむし、検索エンジンに適切なキーワード、例えば“味噌”“手作り”といった言葉を入力すれば、上位に表示されるので、そこから自社サイトに訪問してくる顧客が多いからだ。またすでに多数のリピート客を抱えている。
実際、モールが提供するメール配信システムを介してよりは、自社の顧客データベースに基づくメール配信やDM(郵送でのパンフ配布)のほうがはるかにレスポンス率が高くなる。配信部数はモールのシステム利用のほうが圧倒的に多い。けれどもそれがどれだけ売上につながっているか(優良な顧客へ届いているかどうか)が大切だ。(「囲い込み」という言葉に疑問?を参照ください)無節操な配信が、店舗イメージを損なわせていることに気づいてほしい。
もっとも、今回の新料金体系では、月間総配信量10万件を超えるメール配信については、超えた部分に料金が課金(10万~20万件の配信では、10万件を超えた部分に1通につき1円を徴収)されることになったため、店舗側は配信顧客の絞込みをしてくるだろう。
ターゲットを絞ることでメルマガ発行数を押さえながら、売上を確実なものにできる店舗であれば、売上に対するキャッシュバック制度により課金を相殺することもできる。
このように状況を見てゆくと新料金制導入は、店舗側が真剣にモール出店の意義をみなおす機会となる。そこで不採算と判明すればモールから撤退する店が増える可能性がないともいえない。楽天のシステムが不安定で利用ができないトラブルが多く、店舗側の販売機会損失になっていることは昔から指摘されている。
自社サイトがあれば、モール出店の料金を他の販促費にまわして新規顧客開拓や優良顧客の育成をはかろうとする店舗が出てくることも考えられる。
出店店舗数が頭打ちとなったきびしい状況の中、楽天の新戦略が“吉”とでるか“凶”とでるか。
従量制課金は楽天にとってモール運営の増収策となるだろうが、将来的には、店舗側がモールの価値をどれだけ自社にとって重要と捉えているかを映し出すことになるだろう。
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