さらにGPUの機能を有効活用するGPGPU
GPUはグラフィックス・プロセッサ・ユニットの略で、画面に画像を表示するための専用プロセッサだが、これを一般的な目的(General Purpose)にも使おうというのがGPGPU(General Purpose GPU)だ。
これが進んでいるのがNVIDIAのCUDAで、一般にわかりやすいところでは、動画エンコードにGPUを活用するというデモがある。NVIDIAによるデモによれば、CPUだけの場合よりGPUを利用することで、動画エンコード速度が5倍ほど高速化されている。
H.264などのエンコードは、設定にもよるが、非常にCPUパワーを必要とし、HDの場合、2時間の映画を2時間でエンコードできれば早いほうで、CPUの処理速度向上を待っていると数年以上かかるようなことが、今搭載されているそこそこ高性能なGPUを活用すれば数倍高速化できるのは、非常に効果的だ。
エンコード以外にも画像処理などに活用する動きなどもあり、今後の動向が気になるところ。
GPGPUに限らず、GPUを活用するというのはしばらく前から、Blu-rayなどHDビデオの再生支援にも使われているが、問題は対応ソフトが限られているという点。
エンコードなども同じで、動画編集ソフトなどが対応しなければ宝のもちくされでしかない。
動画のエンコードで言えば、インテルの45nmプロセッサコード名PenrynではSSE4という命令が使えるが、これを使うことで従来のCPUより、エンコード速度が数割向上するというデータもある。(もちろんエンコードソフトが対応している必要がある)
また、動画のエンコードだけで言えば、東芝はPS3に使われているCellを活用したSpursEngineに、MPEG2やH.264のハードウェア、エンコーダ・デコーダを搭載している。
SpursEngineに搭載されるエンコーダは専用ハードウェアとなるので、エンコードするだけならGPUを使うより、かなりのパフォーマンスが期待できるが、これを使うためにはソフトの対応はもちろんだが、当然ながらSpursEngineをパソコンに組み込む必要がある。
現在一般には販売されていないし、SpursEngineを使うようなアプリケーションソフトは今のところ皆無。
これからどのように使われていくのか楽しみだが、相当のキラーアプリケーションがなければ、パソコンで必須でもないハードウェアの普及は難しいかもしれない。
SpursEngine Cell Users' Group
メディアストリーミングプロセッサ「SpursEngine SE1000」のサンプル出荷開始について
GPGPUにとって朗報なのが、アップルがMac OS X 10.5 Leopardの後継として、2009年頃の出荷を目指しているというSnow Leopardは、OSレベルでGPGPUを活用するOpenCLに対応するという。
GPUはゲームだけではなく様々な分野で活用が進もうとしている。高性能なノートパソコンを選ぶ場合、ゲームはともかくGPUの種類などにこだわっておくと、将来何かの役に立つかもしれない。
アップル、Mac OS X Snow Leopardをデベロッパにプレビュー
[上倉 賢]