資産運用

住宅ローンは繰り上げ返済した方がいい? 金利上昇で変わる「100万円」の使い道

日本銀行の利上げで、住宅ローン金利の上昇が意識されるようになりました。手元に100万円の余裕資金がある場合、繰り上げ返済に回すか、預金などで持っておくか迷う人もいるでしょう。判断材料になるのが「借入金利」と「運用金利」の差です。※サムネイル画像:PIXTA

田代 昌之

田代 昌之

資産運用・ビットコイン ガイド

1979年生まれ、中央大学文学部卒業。新光証券(現みずほ証券)やシティバンク、投資助言会社などでアナリスト業務やコンプライアンス業務を経験したのち、暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事。2024年よりフリー。

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利上げで住宅ローンにも影響

日本銀行(日銀)は、2026年9月18日、政策金利を1%から1.25%へ引き上げました。市場では、インフレの状況を見つつ、今後も継続的な政策金利の引き上げが予想されています。

利上げで住宅ローンにも影響(画像:PIXTA)
利上げで住宅ローンにも影響(画像:PIXTA)

これを受けて、三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、変動型住宅ローン金利の基準にもなる短期プライムレートを11月2日から年2.375%から年2.625%へ引き上げると発表しています。

変動金利で借りている人は、今後の見直しによって適用金利が上がる可能性があります。そこで選択肢として出てくるのが「繰り上げ返済」です。

100万円の繰り上げ返済で減る利息はいくら?

繰り上げ返済の効果を簡単に考えてみます。

住宅ローン金利が年1%なら、100万円の借入残高に対する1年間の利息は単純計算で約1万円です。年1.5%なら約1万5000円、年2%なら約2万円になります。

100万円を繰り上げ返済すれば、その後は返済した元本にかかる利息を払わずに済みます。

実際に減る利息の総額は、残りの返済期間や返済方法、繰り上げ返済の方式によって変わりますが、住宅ローン金利が高くなるほど繰り上げ返済の効果も大きくなります。

普通預金との差は意外に小さいことも

一方、100万円を手元に残せば利息を受け取れます。

三菱UFJ銀行の普通預金は11月2日から年0.5%です。100万円なら1年間の利息は税引前5000円、税引後では約3984円になります。

住宅ローン金利が年1%なら、100万円にかかる利息は単純計算で約1万円です。

つまり「年1万円の支払いを減らす」のか、「税引後約4000円を受け取りながら100万円を手元に残す」のか、という違いになります。

個人向け国債なら年2.24%

2026年9月募集分の個人向け国債「固定5年」は年2.24%です。100万円なら年間の利子は税引前2万2400円、税引後では約1万7850円になります。

仮に住宅ローン金利が年1%なら、表面上は繰り上げ返済による利息軽減より、国債の税引後利子の方が大きくなります。

ただし、これは単純な1年間の比較です。住宅ローン金利は将来上昇する可能性があり、個人向け国債「固定5年」の金利は購入時に固定されます。

また、個人向け国債は発行から1年間、原則として中途換金できません。1年経過後に中途換金する場合も、直前2回分の各利子相当額が差し引かれます。

住宅ローン控除が残っている人は条件が違う

もう1つ確認したいのが住宅ローン控除です。

住宅ローン控除を受けている期間に繰り上げ返済すると、年末のローン残高が減り、控除額が小さくなる場合があります。

さらに、繰り上げ返済によって返済期間が短くなり、住宅ローン控除の適用要件を満たさなくなるケースにも注意が必要です。

「ローン金利が上がったから返した方が得」と、金利だけで判断できない理由の1つです。

100万円を返すと100万円は使えなくなる

繰り上げ返済には、預金や国債とは大きく違う点があります。

100万円を預金していれば、必要になったときに引き出せます。個人向け国債にも一定の制限はありますが、中途換金の仕組みがあります。

住宅ローンを100万円繰り上げ返済すると、その100万円を生活費や急な出費に使うことはできません。

金利差が小さいなら、手元資金を減らさないことにも意味があります。

金利だけでなく手元に残るお金を見る

住宅ローン金利が上がれば、繰り上げ返済によって減らせる利息も増えます。一方で、預金や個人向け国債の金利も以前より高くなっています。

まず確認したいのは、現在の住宅ローン金利、住宅ローン控除の残り期間、そして繰り上げ返済後にいくら現金が残るかです。

繰り上げ返済に使える100万円があっても、全額を返済する必要はありません。50万円だけ返済し、残りを手元に置く方法もあります。

日銀による政策金利引き上げに伴う金利上昇局面では、「借金を早く減らす」だけでなく、手元資金を残す価値と比べて考える必要があります。

※住宅ローンの金利、繰り上げ返済の方法、手数料、住宅ローン控除の適用条件は契約や金融機関、入居時期などによって異なります。預金金利は三菱UFJ銀行、個人向け国債は2026年9月募集分の「固定5年」年2.24%を例にしています。利息・利子は概算です。

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