利上げで住宅ローンにも影響
日本銀行(日銀)は、2026年9月18日、政策金利を1%から1.25%へ引き上げました。市場では、インフレの状況を見つつ、今後も継続的な政策金利の引き上げが予想されています。

これを受けて、三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、変動型住宅ローン金利の基準にもなる短期プライムレートを11月2日から年2.375%から年2.625%へ引き上げると発表しています。
変動金利で借りている人は、今後の見直しによって適用金利が上がる可能性があります。そこで選択肢として出てくるのが「繰り上げ返済」です。
100万円の繰り上げ返済で減る利息はいくら?
繰り上げ返済の効果を簡単に考えてみます。
住宅ローン金利が年1%なら、100万円の借入残高に対する1年間の利息は単純計算で約1万円です。年1.5%なら約1万5000円、年2%なら約2万円になります。
100万円を繰り上げ返済すれば、その後は返済した元本にかかる利息を払わずに済みます。
実際に減る利息の総額は、残りの返済期間や返済方法、繰り上げ返済の方式によって変わりますが、住宅ローン金利が高くなるほど繰り上げ返済の効果も大きくなります。
普通預金との差は意外に小さいことも
一方、100万円を手元に残せば利息を受け取れます。
三菱UFJ銀行の普通預金は11月2日から年0.5%です。100万円なら1年間の利息は税引前5000円、税引後では約3984円になります。
住宅ローン金利が年1%なら、100万円にかかる利息は単純計算で約1万円です。
つまり「年1万円の支払いを減らす」のか、「税引後約4000円を受け取りながら100万円を手元に残す」のか、という違いになります。
個人向け国債なら年2.24%
2026年9月募集分の個人向け国債「固定5年」は年2.24%です。100万円なら年間の利子は税引前2万2400円、税引後では約1万7850円になります。
仮に住宅ローン金利が年1%なら、表面上は繰り上げ返済による利息軽減より、国債の税引後利子の方が大きくなります。
ただし、これは単純な1年間の比較です。住宅ローン金利は将来上昇する可能性があり、個人向け国債「固定5年」の金利は購入時に固定されます。
また、個人向け国債は発行から1年間、原則として中途換金できません。1年経過後に中途換金する場合も、直前2回分の各利子相当額が差し引かれます。
住宅ローン控除が残っている人は条件が違う
もう1つ確認したいのが住宅ローン控除です。
住宅ローン控除を受けている期間に繰り上げ返済すると、年末のローン残高が減り、控除額が小さくなる場合があります。
さらに、繰り上げ返済によって返済期間が短くなり、住宅ローン控除の適用要件を満たさなくなるケースにも注意が必要です。
「ローン金利が上がったから返した方が得」と、金利だけで判断できない理由の1つです。
100万円を返すと100万円は使えなくなる
繰り上げ返済には、預金や国債とは大きく違う点があります。
100万円を預金していれば、必要になったときに引き出せます。個人向け国債にも一定の制限はありますが、中途換金の仕組みがあります。
住宅ローンを100万円繰り上げ返済すると、その100万円を生活費や急な出費に使うことはできません。
金利差が小さいなら、手元資金を減らさないことにも意味があります。
金利だけでなく手元に残るお金を見る
住宅ローン金利が上がれば、繰り上げ返済によって減らせる利息も増えます。一方で、預金や個人向け国債の金利も以前より高くなっています。
まず確認したいのは、現在の住宅ローン金利、住宅ローン控除の残り期間、そして繰り上げ返済後にいくら現金が残るかです。
繰り上げ返済に使える100万円があっても、全額を返済する必要はありません。50万円だけ返済し、残りを手元に置く方法もあります。
日銀による政策金利引き上げに伴う金利上昇局面では、「借金を早く減らす」だけでなく、手元資金を残す価値と比べて考える必要があります。
※住宅ローンの金利、繰り上げ返済の方法、手数料、住宅ローン控除の適用条件は契約や金融機関、入居時期などによって異なります。預金金利は三菱UFJ銀行、個人向け国債は2026年9月募集分の「固定5年」年2.24%を例にしています。利息・利子は概算です。







